きまぐれ裁判傍聴記。 -2ページ目

また強制わいせつ。

休日で夕方まで暇だった。
でもまだ寒いので、外を出歩くのはちょっと…


そんな日は東京地裁。


見たい裁判を物色しながら建物内を歩いていると、開廷前から長蛇の列ができている法廷があった。どうやら強制わいせつ罪の判決公判らしい。
これだけ人が集まるということは興味深い裁判ということなので、これを傍聴することにした。


被告は20代後半くらいの気の弱そうなサラリーマンという感じ。
前科はなし。
起訴状は「西武新宿線電車内において、女子高生の下着の中に手を入れ、臀部及び陰部を触るなどし、もって強いてわいせつな行為に及んだものである」というものだった。

被害者の女子高生は、スカートから犯人の手が出るか出ないか寸前のところで犯人を手首をつかみ、次いで犯人が着ていた服の袖をつかみ、振り向くと、そこには被告人がいた、と主張している。




しかし、この被告は容疑を全面否認しているのだ。




そう。



まさしく、リアル版、映画「それでもボクはやってない」




キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!



その判決公判なのだから、傍聴席が満員になるのも頷ける。
被告人の家族をはじめ、支援者もかなり来ている様子だ。




今日は判決公判なので、最初に判決言い渡し、判決理由という流れで進む。







裁判官
「それでは判決を言い渡します。 主文、被告人を懲役1年4ヶ月に処する。」





なんと執行猶予なしの実刑判決!
しかも初犯で。


「えーー!?」「どうして…」

満員の傍聴席にざわめきが広まる。



判決理由を聞いていると、この裁判は被告人が容疑を全面否認していることで、やはり映画同様かなりもめたらしい。
被告の指に付着した繊維鑑定などはもちろん、弁護側は犯行の実験ビデオまで作って検証、また被害者の主張する、大腿部に感じた指の動きに関する供述は信憑性があるのかを医師まで招いて検証したようだ。


判決の決めてとなった証拠の一つとして、被告人が逮捕・拘留されている間、警察署内においての別件で逮捕されていた面識のない容疑者との会話がある。


被告は警察の留置場で入浴する際、別件で逮捕されて顔を合わせた容疑者に、
「ちょっとね、女子高生のお尻をペロッとやっちゃったんですよ」
と言ったというのだ。
同時に否認していることも言ったらしく、それを聞いたこの別件の容疑者が警察官に話を伝えたという。


この証拠に対し、弁護側は「常に警察官の監視下にある拘留中に、容疑者同士でこのような会話がなされるとは到底考えにくく、また記録を見る限り2人の入浴時間も離れていた。(中略)…仮に2人きりで顔を合わせることがあっても、容疑を否認している人間が安易にこのようなことを言うことは考えにくいことである」


と反論。確かにそうだ。
その別件の容疑者が、送検中とかに被告と顔を合わせて、例えば「被告の目つきが気にくわなかった」とかで逮捕された腹いせに警察に嘘をいったということも十分ありえる。


しかし検察側は、「被告となんの面識もなかった別件の容疑者が、自分に何のメリットもないのにわざわざ今回の事件の被告に不利になるような供述を警察にするとは考えにくい。(中略)…よってこれは証拠として信用できるものである」と主張。。



裁判官「被告人は取り調べ、公判に渡り容疑を否認し続け、全く反省が見られない。また弁護側が検証で作ったビデオも正確性のないずさんなモノであり、証拠として採用したが信用に欠ける。被害者はかなりの精神的ショックを追っていることもあり、初犯であることを考慮しても被告に情状酌量の余地はない」


と言い閉廷。



裁判官が退室するとき、傍聴席から怒鳴り声があがった。



被告の兄弟らしき人「おい!!  なんでだよ!! こんなの絶対、絶対おかしいだろ!!!なんであんな頭のおかしい女(被害者)の言っている事なんか信じるんだよ!!!おかしいだろうがっ!!!!!おい!!!!!!」


被告の母親らしき人 「ウチの~はやっていないんです…(涙、涙)」



一度振り向いたが無表情で退室する裁判官…

必死で被告の家族をなだめる弁護士…







俺「す、すごい…ホントに映画みたいだ…」(*_*)








うーむ、真実はどうなのだろうか?
痴漢って、本当に物的証拠とかないから大変なんですね。。

初めての裁判。

東京地裁へ逝ってきた。



友人S氏と飲んでいるときに「裁判傍聴マニア」の話になった。家に帰ってネットで調べてみたら、有名な事件の裁判でなければ別に何の手続きもなく、いきなり裁判所に行って傍聴できるらしい。


ということで翌日さっそく東京地裁へ。



正面の受付のようなところに今日予定されている裁判が記載された冊子が置いてある。刑事、民事等に別れているが、ボクは傍聴初心者なので分かりやすい刑事裁判。
刑事裁判の冊子には
「何時に◯◯号法廷で被告人◯◯◯の~罪に対する裁判がある」
ということがリストになっていた。平たく言うと「今日のラインナップ」といったところだ。ここから見たい裁判を見つけて、後は法廷に入るだけ。

実に不謹慎な言い方だが「映画を見に行くような手軽さ」で裁判を見ることができるのだ。


で、今日は「強制わいせつ罪」の新件を傍聴してきた。
要はチカンですね。

被告は40過ぎの暗そうなサラリーマン。
起訴状によると「満員の埼京線車内において、18歳女性のズボンのファスナーを下ろし、中に直接手を入れ……(自主規制…)」

だそうだ。。


被告には妻がいて、さらに子供が3人もいる。一番上の子供は来年高校受験ということだ。。
実はこの被告、数年前にも電車内のチカンとスリで2度逮捕されている。にも関わらずまたやってしまった…今度こそ甘くはないぞ…

映画『それでもボクはやってない』とは違いバリバリの確信犯である(笑)


被告人質問で検察がもうめちゃくちゃに喧嘩口調で追いつめていた。
検察官は珍しいことにキムタク風の長髪お兄さん!




いろいろやりとりあった後で…

検察官(キムタク風) 「で、あなた、人生で何回チカンやってるの??」

被告         「2回だけです…」

検察官(キムタク風) 「(゜Д゜) ハア?? 人生で2回やってその2回が偶然捕まったの!? あなたねえ…ズボンのファスナー下げて中に手入れるって、異常だよ!!AVの世界の話だよ!!普通のチカンそんなことしないよ!!! 2回目でよくそこまでやったねえ!!」


被告         「……」


検察官(キムタク風) 「で、何だって? 仕事のストレスがどうのこうの言ってたけどさ、それとチカンが何の関係あるんだよ!!」

被告         「……」(ずっと下向いたまま)


検察官(キムタク風)  「何で職場のストレスでチカンしなきゃならないんだよ!!それ全く関係ないだろ!!!触りたかっただけなんだろう!?
ハア(溜め息)もういいよ…」




さらに妻が証人で出廷していた。


裁判官「奥さん、どうですか、こんな場所に引っぱり出されて…今のお気持ちは?」

被告人の妻「……(長い沈黙)……情けないです…(泣)」


それでも妻は被告とは離婚せずに生活を共にしていくと言っていた。


判決は年明け。
妻の話によると、もし父親である被告が刑務所に行くことになったら、子供の受験どころか家族はもう生活できない経済状況だという…
しかし3度目の逮捕では執行猶予付くか際どいところだ。
家族はどうなってしまうのか…



うーむ…





傍聴マニアの気持ちがよく分かった。
不謹慎だが、どんな映画や演劇より何倍も面白い…
そして「他人の振り見て~」じゃないけど自分のことも考えてしまうしね。


とりあえず、ボクは真面目に生きよう。。