また強制わいせつ。 | きまぐれ裁判傍聴記。

また強制わいせつ。

休日で夕方まで暇だった。
でもまだ寒いので、外を出歩くのはちょっと…


そんな日は東京地裁。


見たい裁判を物色しながら建物内を歩いていると、開廷前から長蛇の列ができている法廷があった。どうやら強制わいせつ罪の判決公判らしい。
これだけ人が集まるということは興味深い裁判ということなので、これを傍聴することにした。


被告は20代後半くらいの気の弱そうなサラリーマンという感じ。
前科はなし。
起訴状は「西武新宿線電車内において、女子高生の下着の中に手を入れ、臀部及び陰部を触るなどし、もって強いてわいせつな行為に及んだものである」というものだった。

被害者の女子高生は、スカートから犯人の手が出るか出ないか寸前のところで犯人を手首をつかみ、次いで犯人が着ていた服の袖をつかみ、振り向くと、そこには被告人がいた、と主張している。




しかし、この被告は容疑を全面否認しているのだ。




そう。



まさしく、リアル版、映画「それでもボクはやってない」




キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!



その判決公判なのだから、傍聴席が満員になるのも頷ける。
被告人の家族をはじめ、支援者もかなり来ている様子だ。




今日は判決公判なので、最初に判決言い渡し、判決理由という流れで進む。







裁判官
「それでは判決を言い渡します。 主文、被告人を懲役1年4ヶ月に処する。」





なんと執行猶予なしの実刑判決!
しかも初犯で。


「えーー!?」「どうして…」

満員の傍聴席にざわめきが広まる。



判決理由を聞いていると、この裁判は被告人が容疑を全面否認していることで、やはり映画同様かなりもめたらしい。
被告の指に付着した繊維鑑定などはもちろん、弁護側は犯行の実験ビデオまで作って検証、また被害者の主張する、大腿部に感じた指の動きに関する供述は信憑性があるのかを医師まで招いて検証したようだ。


判決の決めてとなった証拠の一つとして、被告人が逮捕・拘留されている間、警察署内においての別件で逮捕されていた面識のない容疑者との会話がある。


被告は警察の留置場で入浴する際、別件で逮捕されて顔を合わせた容疑者に、
「ちょっとね、女子高生のお尻をペロッとやっちゃったんですよ」
と言ったというのだ。
同時に否認していることも言ったらしく、それを聞いたこの別件の容疑者が警察官に話を伝えたという。


この証拠に対し、弁護側は「常に警察官の監視下にある拘留中に、容疑者同士でこのような会話がなされるとは到底考えにくく、また記録を見る限り2人の入浴時間も離れていた。(中略)…仮に2人きりで顔を合わせることがあっても、容疑を否認している人間が安易にこのようなことを言うことは考えにくいことである」


と反論。確かにそうだ。
その別件の容疑者が、送検中とかに被告と顔を合わせて、例えば「被告の目つきが気にくわなかった」とかで逮捕された腹いせに警察に嘘をいったということも十分ありえる。


しかし検察側は、「被告となんの面識もなかった別件の容疑者が、自分に何のメリットもないのにわざわざ今回の事件の被告に不利になるような供述を警察にするとは考えにくい。(中略)…よってこれは証拠として信用できるものである」と主張。。



裁判官「被告人は取り調べ、公判に渡り容疑を否認し続け、全く反省が見られない。また弁護側が検証で作ったビデオも正確性のないずさんなモノであり、証拠として採用したが信用に欠ける。被害者はかなりの精神的ショックを追っていることもあり、初犯であることを考慮しても被告に情状酌量の余地はない」


と言い閉廷。



裁判官が退室するとき、傍聴席から怒鳴り声があがった。



被告の兄弟らしき人「おい!!  なんでだよ!! こんなの絶対、絶対おかしいだろ!!!なんであんな頭のおかしい女(被害者)の言っている事なんか信じるんだよ!!!おかしいだろうがっ!!!!!おい!!!!!!」


被告の母親らしき人 「ウチの~はやっていないんです…(涙、涙)」



一度振り向いたが無表情で退室する裁判官…

必死で被告の家族をなだめる弁護士…







俺「す、すごい…ホントに映画みたいだ…」(*_*)








うーむ、真実はどうなのだろうか?
痴漢って、本当に物的証拠とかないから大変なんですね。。