自動車運転過失致死。 | きまぐれ裁判傍聴記。

自動車運転過失致死。

ヤバい、傍聴マニアになりつつある…


今日は障害、覚せい剤取締法違反、児童ポルノ・児童買春、自動車運転過失致死傷罪を傍聴。
バラエティに富んだラインナップだ。

殺人・死体遺棄・死体損壊と傍聴マニアの言う「裁判の華」3拍子そろってパンチのきいた三橋歌織タソの審理もあったが傍聴券の配布がもう終わっていた。





印象深かったのが自動車運転過失致死傷罪の裁判だ。


被告人は50歳くらいの大型トラックドライバー。
仕事で運転中に一瞬の脇見をしたがために、午前5時半ころ横断歩道を横断中だった女性(23)をはねて死亡させた。


被告人の印象は、「優しいお父さん」という好印象。
顔や物腰から本当に誠実な感じだ。
証言台へ向かうときは検察側はもちろん傍聴席にまで一礼をする礼儀正しさ。


話を聞くと、やはり見た目の通り。
事故を起こすまで危険な運転はおろか、無事故無違反、優秀なドライバーとして会社から表彰までされた人だった。まさに職業ドライバーの鏡だったのだ。


そんな誠実な人が一瞬の脇見のために今この法廷にいる。





今日は判決公判なので即判決言い渡し。





裁判官「では判決を言い渡します。主文、被告人を禁固2年に処する。       以上です。つまり実刑判決ということです。」



まっすぐ前を見て話を聞き続ける被告人。



裁判官
続いて判決理由を述べます。(中略)

証言にあったように、被害者の女性(23)は北海道から上京して東京で働いていました。休みがとれると必ず北海道の両親の元へ帰り、母親も頻繁に東京の娘を訪れるなど、とても仲の良い親子関係です。
事故当日も母親が娘のアパートに泊まっていました。
『部屋着を借して』という母親のために、被害者は自分の服をまだ寝ている母親の枕元にたたんで置くと、朝のウォーキングに出かけた。

そして横断歩道を横断中に、被告人の運転するトラックにはねられました。
被告人は『何かがぶつかった』という感触があったにも関わらず、その後数十メートル走り続け、結果、女性をトラック下部に巻き込み、さらに後輪で頭を踏み潰すという残酷な状態で即死させた。文字通り変わり果てた優しい娘と対面したときの母親の気持ちは我々の想像を絶します。被告人が優良な職業ドライバーであったことや猛反省していることを考慮したとしても、二度と帰らない命を考えれば、実刑をもって臨む他はありません。



“あなたが脇見をしたのは一瞬ですが、その一瞬でかけがいのない命が消え、
そして一生悲しみ続けなければならない人たちがいます” 













裁判官の最後の一言に、シビレタ…
交通事故防止のポスターにでも使いたい言葉だ。

審理は聞けなかったが、家族の証言などは法廷中が涙、涙だったろうな…



北尾トロ氏も本の中で書いていたが、自動車教習所では事故のビデオよりも、人をひき殺した人間の裁判ビデオでも見せたらいいのだ。
遺族の手紙朗読とか、修羅場を一部始終全部見せる。


そしたら飲酒運転とか脇見は絶対できないから。