相変わらず大して更新しないこちらのブログですが、最近ようやくネタ(?)ができましたのでご紹介を。
当社の開発商品のほとんどは機密保持のもと開発されますので、ほぼ発信できるネタがありませんが、今回は当社開発品ですので遠慮なくご紹介できます。
先日CFD解析で開発するウイングを製作いたしました。
こんなのです。
こちら、プリンタで製作しました。
当社にあるプリンタは最大300mm程度ですのでそれを超える部品はDMM.makeで製作しています。
評価車両はこちら。
国内で唯一(?)開発を推奨されているクラスFormulaBeat用の車両Formulaルノーです。
さて、こちらの開発ですが、下記の進め方で開発いたしました。
①ベース車両のドライバーやコンストラクタから車両課題を抽出
②ベース車両を3Dスキャナし、車両データの製作
③ベース車両のCFD解析を行い、①の課題と解析結果に整合性があるか確認
④確認結果と課題に整合性が取れたため、まず優先部材としてリアウイングを開発着手
⑤翼形状の選択
⑥翼形状のサイズ設定、レイアウト検討
⑦CFD解析
⑧内部構造検討
⑨製作形状で再度解析
⑩形状決定
⑪製作
⑫組立
⑬車体取り付け
⑭実走評価
⑮フィードバック
⑯ウイング再製作
⑰実走評価
⑱耐久評価開始
①-④がいわゆる開発企画の部分
⑤-⑩が設計開発
⑪-⑬が製作
⑭-⑱が評価
至って普通の開発手順をあえて踏襲しました。
では具体的に。
こちらはベース車両の空力解析の様子。
こちらの車両はリアのダウンフォースがあればもっと・・・とのことでした。
割ときれいに流線でています。
まぁまぁ予想通りの解析結果ではありました。まぁ、たしかにリア薄いかもって感じです。
リアウイングの結果はこちら。
ドライバーはよりダウンフォースを希望するのでウイングを立てる→ドラッグが増えるので反応は良い感じがするが、ウイング剥離がデカいのでダウンフォースは出ない。
まぁ、なかなかの悪循環です。
ワンメイクレースであれば、これは主催の狙ったところだろうなとおもいます。
ではリアウイングをつくろう!となり、どうせなら車両規則で狙えるところちょいマイナス(すこしひよってます)でウイングをレイアウトしました。↓な感じです。
割と精悍な感じしますね。
ウイング自体はこんな感じ。
そして解析結果はこちら。
CFD解析上はベース車両比2.4倍のダウンフォース、0.75倍のドラッグです。
重要なことですのでもう一度
ベース車両比 +240% のダウンフォース
ベース車両比 -25% のドラッグ
こちらのウイング、ロードラッグ&ハイダウンフォースという夢のような品物です。
とはいえ解析だけだろ?と私もおもっていました。
なので実走評価が重要です。
評価はもてぎ、FSWで行っています。
ダウンフォース測定はリアサスペンションにストロークセンサを入れました。
ダウンフォースデカければ、より沈んでくれるだろうという思いをこめて。
ドライバーの体感は段違いとのことです。
ロガーですとちょっとわかりにくいですが、一旦沈んだリアが押さえつけれれたままでいるという測定結果でした。
あまりにリアダウンフォースが大きくなりすぎて、まったく曲がらない状態でした。いわゆるドアンダー状態です。
次にドラッグ(抵抗)ではどうかとなると、まっすぐの速度で決めるのがよいでしょう。
最もながいFSWの速度がこちら。
開発ウイングは22番です。ドライバーがぽんこつながら最高速をマーク。(タイムは10位)
予選タイム1位のドライバーさんは81番さんですので、いかに彼が上手で、対照的に22番がいかにまっすぐで稼いだかがわかります。
ロードラッグ&ハイダウンフォースコンセプトのウイングは想定通りの開発結果になりました。
ちょっとほっとしました。
ドライバーがもうすこし頑張ってくれれば、まぁまぁましな成績になるんじゃないかなとおもっていましたところ、先日のもてぎ大会で成績でました!
クラス3位です。(いろいろ棚ぼたはあれど、3位は3位ということで)
残念ながら最高速は東京R&D製作KAMIKAZE号にもっていかれました。ん-さすがです。
あとは耐久評価ですかね。
注意深く見ていきます。
おいおい!なんだよそれ、ほしいよ!ってかた。
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