「英国紳士がサウナに挑む話」
むかし温度計もろくになかったころ、1770年代のこと、もちろん体の中のことも明らかでないことが多かった時代の話だ。
体温が36.7°前後でも、なぜその温度かが知られていなかった頃、人間の体がステーキが焼けるほどの高温の空気にさらされたら、どのようになるか、それを解明しようとしたジョージ・フォーダイスというイギリス人の医師がいた。
熱を利用して病気を治せないかと思ったのがきっかけだ。自分で試そうと、木のサンダルを履き、まず49°の蒸気の部屋を体験した。
人に運ばれなければ動けないほどになったそうだ。
しかし、二時間位で元に戻る。
博士はこれをまだ肩慣らしだと、56°まで部屋の温度を上げた。
しかし、何度実験しても体温が37.8°を超えることはない。
ここまでは、室温を蒸気を使って上げていたが、蒸気に代わってダルマストーブを使い始めると、辛抱しやすいことに気が付く。
乾燥しているからだ。
そこから、どんどん室温を上げていく。
その後、ロンドン王位協会事務局長、海軍大佐、植物学者、医師などと一緒に93°までの計画を立てる。
しかし、どこまで人体が高温に耐えられるかは解っていないのにもかかわらず、誰も危険を感じていなかったという。
魚は38°で死んだ。鳥は65°で死んだ。
ロシア人は70°の蒸し風呂に入ることが解っていた。
「われわれはみな喜んでいた。生物の限界とみなされているよりはるかに高温の空気にさらされたら、いったい人間はどうなるのか。それを観察できる機会にめぐまれたのだから」参加者の面々はこう言って喜んでいた。
そして、室温を127°まで上げた。
卵は10分、肉は33分で焼きすぎのステーキとなるが、博士たちは無事だった。
空気が充分乾燥していれば、人体は汗が蒸発して体を冷やす。
ちなみに一緒にいた犬は唾液の蒸発で体温を調節していた。
これで解ったのは、それまで思い込まれていた外的刺激や性格などでは、体温はさほど変化しないということだった。
この実験で体温が上がる場合、細菌やウィルスに感染しているという条件が明確になっていったのだ。
ここに知識を突破する経験、経験から蓄積される知識の確証が確認できる。
好奇心と勇気が知識や思い込みによって作られた幻想をぶち破り、新たな知恵を与える。
明日からメディセルを頭に当ててみたらどうか。
固まった脳と性格のセルライト、砕けるかもしれない。
(知恵から始まる治療の極意「知識炎上」 Vol.5 岡根知樹著より)
2015年 岡根知樹 8月のセミナー
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