俺は谷口一也。

取引先とのトラブル処理が長引き、やっと解決。残業を終えて、時々立ち寄る居酒屋でビールで喉を潤す。

ホッとしたのも束の間、ふと思った。

『誕生日に残業して一人で居酒屋。寂し〜。誰かといたいわけでもないけど。ハハッ、いいわけか。でももう何年になる。親父が亡くなった歳から俺の歳を引いたら、9年無いのか。膵臓がんやったし、DNAからすると俺もがんになる可能性は、他の人より高いわけで… えっと正確に計算すると… 8年6ヶ月と1日。え〜! 俺の余命861! どうする? 何がしたい? 何をすべき?』