・和久井家 家族のひと時
晩秋ともなれば 朝夕には寒さも感じる頃となり、和久井由布子は、午後の時間帯
として勤める パート勤務を終えると暗くなった夕暮れの道、ハーフコートの襟を
立てながら帰りを急ぐ。
玄関のドアを開ければ、 「・・た だ い まぁ 」 と 声にするも・・
仄かな明かりだけが出迎え、、まだ誰も帰宅してはいない。
脱ぎ終えたコートを掛け終えると、手洗いと洗面を済まし、ダイニングの椅子に腰
かけ一息の休息。 ・・思い描くは 今夜の総菜・・。
だが、、やはり 気にかける娘への想い。
まだ 体調に大きな変化はないに しろ、娘を想う親心としては・・気になるところ。
「た だ い まぁー・・」 由香が 帰ってきた。
「 お 疲 れ さん 、、身体 大丈夫?」
「ん、、最近、営業の方は、外に出ることは少なくしてもらって、広報の仕事の方
に 回ってるからね 。・・それより 洋介さんの仕事の方が忙しくなりそうなの・・
本社が他社と合同で、あるところの開発申請がおりたようだから、、洋介さん
の仕事の忙しくなりそうなのよ」
「男の人の仕事なんですもの・・たいへんな時もあるわよね・・それに(式)までは
もう、一か月程よね。ご招待客様の名簿から、お土産の引き出物やお料理の確認などは出来てるの?・・一度はドレスも着かえるの?。最終的な打ち合せもしなくちゃならないでしょうし・・」
「ええ、もう、確認済ませてあるから・・」
「・・今夜の 食事の用意、手伝うわ・・私も 着かえてくるから・・」
二人並んで キッチンに立つも、、やはり 話題は 生まれてくる子供のことに 話は
及び・・
「・・向こう様にもお伝えしたんでしょ?、、何か、おっしゃっていなかった」
「・・うぅん、とても喜んでみえたわ。・・初孫だからって 」
「でも、いつまでも、この家の方でいいのかしら・・いや、私たちはいつまで居て
もらってもいいんだけど ね 。・・向こうの皆さまは キットあなたたち夫婦を近く
に呼び寄せたいんじゃないのかしら」