・妊娠 初期 *全編、固有名詞は 架空のものです。
結婚したとならば、その多くの女性が体験するであろう出産・育児の過程。
いくらかの不安はあるものの、(母)という身近な経験者が居ること は、
娘、由香としては 何にも増して、心強さを感じることの有難さ・・。
当然のこと 洋介という” 彼”が居て、あかちゃんも生まれる結婚生活。
そして、女として乗り越えると決めた 出産という 一大イベント。
楽しみなことでも あるのだが・・やはり、ネガティブにとらえれば、すこしの不安 は、否めないところ・・。
妊娠している と分ったそれから数日後、クリニックにて頂いた診断結果を 総務の
寺島希美さんに提出した・・、 その後日 。
「和久井さん 例の書類 、サン キュウ 受領されましたよ。一年間 OK ですって・・」
と、渡された書類と共に、 小声で 由香に話かけられたの だが・・
その数時間後には営業の先輩、 笹井陽子さんから
「・・和久井さん、オメデタなんですってね。おめでとう 」
と はなし掛けられたのには 驚いた。
笹井先輩は 私の上司でもあり・・又、彼の先輩でもあるのですが・・、
・・まさか?・・
私的な個人情報であっても、・・キット総務の誰かが 閲覧し、おしゃべりな人の
耳にでも入ろうものなら、またたく間に・・
> 帰りは 遅くなるの?<
同じ、ハウスメーカー営業部に席を置く、 彼に ラインを 送ると・・
>あと 少しだから、一緒に帰ろう 。玄関横で 待ってて・・<
由香の妊娠が確かなものになり、お腹を気にするようになってからは、いつになく
彼を、愛おしく思う ことが多くなったのは、気のせいなのか?・・。
・・電車内では、由香の身体を かばうかのように 車両後部の隅に立ち、、
「由香の母さんが戌の日に腹帯を・・とか言ってたけど、近いうちに神野の家の方
にも一度顔を見せるとか、少しだけでも挨拶に行こうか?・・」
由香の、何気に不安な様子を 伺い知ると・・
「 だいじょうぶ 。俺が由香を 守るから・・」
” あ り が と う ” ようやく由香の顔に 笑みがこぼれる。