・お嫁さんを もらう?・お婿さんを もらう? ②
由香は洋介の言葉をフォローすべく 言葉をつなぐ。
「ええ、もちろん。今年中には結婚という方向にもっていくことも考えては いる
のですけど・・いつか赤ちゃんができた時のことも・・」
「・・もう、 妊娠してるんじゃ ないの?」
「いいえ、そのような ことは・・」
「そうね 結婚が先よね。今年中となると、もう三月ちょっとよ。どこかの式場か、
ホテルにするか・・それが決まったら早めに知らせてほしいわね。
・・あー、麺が伸びてしまうわ。食事を済ませましょ 」
食事をしながらとも なれば、当然のこと、言葉は少なくなるも・・
美月は、食事を簡単に済ますと 話を始める。
「この神野家の弟が、こんなに綺麗で 素敵なお嫁さんと結婚できることを、私たち
家族も喜んでいるのよ・・今の時代は、結婚して直ぐに同居なんてことは、とても、とも思えるし・・二世帯ってことも、このマンションの今の状況じゃ 同居などは・・それに、この神野の家も父は次男でもあるし、家系の跡継ぎ、とまでは・・で、あっても 一応は、父の後は洋介さんに、と 思うところもあって、・・由香さん家は、
お姉さまと二人姉妹なんですよね。」
「ぇぇ・ ・ 」
「・・いいのよ。そこのところは今は考えなくて、あなたたち二人の新婚生活が楽
しく過ごせて・・でも、できればこちらのジムの方にも二人の顔を見せていただき
たいわね。 まぁ 今後、赤ちゃんが出来てからでも、又、考えましょっ 」
神野の家をあとにすると、駅に向って歩くふたり。
意とする方向に進むことに気を良くする由香は、
「一応、了解も取り付けたんだし・・今夜はそのことを伝えること私んちに来て、
今後のことも相談しましょ。」
由香と洋介は、お姉さまとお義母さまの元から解放されると、帰りを急ぐ人達に紛れ
その電車に乗ると、混雑とまではなくとも多くの勤め帰りと思われる人たちが、、
窓際の空間に由香を立たせると、その背後を庇うかのように立つ洋介。
そして、和久井家の近くの駅に降り立った。
「私、そこのスーパーで 総菜を少し買っていくわ。ちょっと まってて・・」
・・その時、洋介の携帯に着信の知らせが あり、ジャケットから取り出した携帯 の・・ ラインの文字に眼を走らす。 ・・・・ 。
「お姉さんの思いからすれば、由香の容姿を見込んでか、、できる限り来てほしい
口ぶりのようだったし、顔を見せるだけじゃなくてジムを手伝うことにもなったんだよ」 と、すこしの不満気に言葉を漏らす洋介。
「・・い~え、それがあったから結果 OKとなったのよ。いいじゃない。二人で行動
するんだし、洋介さんもそれほど気を使う所でもないでしょ。・・それに美月お姉
さまって、思っていたよりも私たちのこと考えてくださっていて・・それ 誰からの
メールなの?・・」
着信したラインを再度、読み取ると・・洋介の足の動きが止まってしまう。
夕日が落ち、街灯の点る下へと来た洋介は、もう一度その文字を読み返し、携帯を
閉じた。