・お嫁さんをもらう?・お婿さんをもらう?  ①

 

 

由香は早速 色鮮やかな朱色の T シャツ、ジャージのパンツに履き替えると【ジム & フィットネス】の受付カウンターの仕事の要領を永瀬美保さんに教えていただくこと、前に置かれたPC にはカードを通すたびに表示される名前と、お顔を照らし合わせ 「いらっしゃいませ。ご利用ありがとうございます。」 と、声を掛けると・・

その男性は 由香の顔を、思わず二度見されて場内へと入って行かれる。

 

少し離れたところから、その様子を見ていた美月は ” 美保さんと いい勝負だわね ”

思わず、含み笑顔で見つめている。

場内を見回した美月。コーナーに置かれたサイクルに乗る洋介を見つけた 姉の美月はその隣に空いている自転車サイクルに乗り・・少しの負荷をかけてペタルを漕ぎ続け・・ 

 

「きょうは二人で来てくれて ありがとう・・今後も、あのように綺麗な由香さんの

  姿が見れるとうれしいわ。 それに、もうひとつお願いが あるの・・

 ・あとで メールで送るから・・それは 私たち ふたりだけの・・」 と 見合わせた

   顔に ウシシイミシン な  ウインク ウインクを送る。

 

 

  そして・・時は、一時間近くにも なろうとしたころ・・

「由香さん 今日は それくらいにしておき ましょうか。ちょっと 話があるの・・」

  皆の居る 場から離れると、

「少し はやいけれど、お母さんところに夕食の用意ができてるようだから、いただき

 ましょうか。・・私も あとで行きますから、先に行ってて・・」

 

 エレベーターに乗った二人は、

「ちょうど いい機会だわ。・・あのこと、洋介さんから話掛けてヨっ 」

 やはり 洋介は、こうなれば・・やむを えないこと と・・

 

 三階の308のドアの前に立った洋介と由香。洋介は鍵を持っているにもかかわらず

ベルを押し、母が 開けてくれるのを待つことにした。

 

「 いっ らっしゃい ・・あなた 鍵をもっているでしょうに・・なにヨ ミズクサイ」

 

  母の美沙子は先だって ダイニングの方に歩きながらも、、

「由香さんが 来てくださったって、美月も喜んでいたわ。・・なにも ないですけ

 ど、夕食を召し上がってくださいな 。お父さんは五十も過ぎたというのに、いつも

 帰りが遅くって、、それに この頃はスーツにイイ香りが付いていることも あるんだから、 もう・・男って 外ではナニをしているか、、知ったものじゃ・・  」

 

 顔を見合せ、 笑みを浮かべるふたり。

 ダイニグのテーブルには、筑前煮や、魚の煮つけなどが並べて置かれ。あのコクのあ    る ラーメンまでも・・

「・・みな、下から配達していただいた物ばかり、私が作ったのは ホウレンソウの     おしたし だけ。・・由香さん ごはんの方は付けて挙げてくださいな 」

 

 「こんなに していただいて、申し訳ないですわ」

 

 「なにも ないですよ。・・あなたたちが来てくれて うれしいの。洋介にはお似

  合いのお嫁さんだって、皆喜んでいるのよ。」

  お母様はテーブルの端で お茶を淹れながらも、、

「あの 結納の時の由香さんのお着物姿も素敵だったわね。私も着物は 好きですから

 時に開かれる御茶会に行く時などには着ているのよ」

 

 そこへ  姉の美月が 入ってきた。

 お箸を持ち 食べ始めようとしていた由香は、お箸を置くと お辞儀をして、

「・・すみません。お先に いただいて おります 」

 

「どうぞ ・どうぞ、なにも たいした物がなくってごめんなさいね。二人が来てくだ

 さって有難いわ ・・さきほど 美保さんが言ってたわ。由香さんって、あの女優さん   か、、テレビのアナウンサーのアノ人に似てらしゃるわね。 ですって。・・私も

 前から そのように思ってたの」

 

「洋介さんも そう 思うでしょっ・・男って、美人な女には弱いのよね」  洋介は、

 改めて由香の顔を ながめて見るも、 なにも言わず、ニッと笑みを浮かべて食事を

 続ける。

 

  その時、隣に座る由香の足先が、洋介の足に当たった かのように思えた。

 

「・・あのぉー、お姉さん・お母さん。すこし話があるんですけど・・」

「あらっ、 何かしら・・」

 

「もう 婚約も済ませたことだし、、由香とも相談したんだけど、二人で一緒に住む

 こと・・同棲しようかと思って・・。・・これは、僕から言い出したことで、、

 今、僕の住むワンルームの家賃も浮いてくるし、少しばかりだけど、会社にも近い

 由香ん家の二階が空いてるようだから、そこで一緒に住もうかって話になって・・」

 

  ・・母と 美月は 顔を見合せ 目・・少しの 沈黙の時がながれる。

 

「・・いいじゃないの 。・・でも、ずぅーと 永くってことでも、ないんでしょぅ?

 和久井さんのお宅に住むって こと・・」