・お姉様からの 要求

 

  ホテルでの一夜を過ごした由香が家に帰ると、家事に精をだす 母の由布子が

  待ち構えていたかのように呼び止める。

 

「昨夜 綾乃から、由香ちゃんが一晩泊まるって電話が有ったわ」

「結婚前の娘が夜も帰らないで ・・電話くらい掛けないと心配するでしょっ」

 

「飲み会のあと綾乃姉さん所で話込んじゃって、お酒も飲んでたから・・」 

「お姉さんが 新婚家庭だからって遠慮することはないのよって。一晩くらい泊って

 ゆきなさいよって 言うものだから・・・でも、ごめんなさい。」

 

 ・・ お姉ちゃんに お願いしておいてよかった と 、胸をなでおろす由香。

 

 でも、母には心配かけたと・・詫びの言葉を言う由香ではあるのだが、いずれは

 彼を紹介しなくては・・と、思ってはいるのだが・・。

 

 娘の行動が気になる 母の由布子は、直ぐに綾乃の携帯へTELを入れる。

 

「・・お酒もけっこう飲んでいたようだったから、リビングにお布団しいて 休んで

 もらったの・・・いいえ、ひとりでよっ」

 

  「・・そぉぅ、だったら いいんですけどね。それは、心配するわよ。誰が見たって     あれほどに綺麗な娘で何分、結婚前のだいじな娘なんですもの」

 

「 でも 由香ちゃんも、もう、男の人が居てもいい歳なんだから・・好きになって、

 由香ちゃんが決めた人だったら認めてあげてよ。私たち夫婦をうらやむ眼で見て

いた感もあるの。もしかすれば、結婚も視野に入れての お付き合いかもしれないし、

いつの日かは男の人を紹介してくれるわよ。」

 

 

 綾乃は、妹 由香のことを自分より綺麗であると認め、それに旦那様となる人があれ

 ほどのイケメン男子ともなれば・・なおさらのこと悋気の心が芽生えてしまう。メラメラ

 

   綾乃は、私だって 策略に加担してあげたのに、、私の知らぬ間に 事が進行して

 いることに憤慨する思いに苛立ちを覚え・・姉という立場にしても、出来事を知る

 権利もあるはずだわ。

 

「由香ちゃん・・電話じゃ ダメ。成るべく早めに私ん家に来てちょうだい。

   一緒に夕食でも いただきながら貴方たちを応援すること、話の打ち合わせも して

   おかないと」

 

夕食を約束し、旦那様の祐樹さんにも聞かせてあげれば、何か面白い話でも聞けるのではないか。  妹たちのラブラブな様子を聞くことができれば、自分たち家庭の愛も  依り深まるのではないかと・・。

 

帰宅時にさえ明るさの残る時、深田綾乃のマンションには妹はまだ来てはいない。

・・由香の来るのを心待ちする 姉の綾乃。

 

マンションの エントランスの前に一台のタクシーが止まる。車 

 

すると、そのタクシーから 降り立つひとり女性。

オフホワイトのパンツには、ヒップの張りにさえエロい感が見て採れ・・淡いイエロ   ー地に小さな水玉模様のブラウス姿。、ベージュのヒールも とてもよく似合い、

 エントランスへと急ぎ足で入るのは綾乃の三歳下の妹、由香だと気がついた。

 

同じ姉妹でありながら・・この しばらくの間に、これほどに綺麗な女に変貌したことは 本人さえ気付いてはいないのかも・・

 

 いやっ 、ドレッサーに映る姿を見れば由香は気付いている はず。

 姉よりも綺麗な女になり得たこと・・イケメンの彼氏に出会え、心から好きになれる

男ができて身体まで許し合えたこと。

その喜びを包み隠しているかのように明かるい笑みを浮かべ・・視線の先に綾乃を見つけると、足を速めてちかずいてくる。

綾乃の眼から見ても、由香が綺麗に映る女性観は一段と眼を  目 見張るものがあることは確かなのだ。

 

 「い らっ しゃ い・・」二人は 話ながらエレベターへと乗り込み、5階の [ F ] 

  と 掛かるマンションの部屋を目指す。

 

「お母さんには 都合よく応えてあげたわよ。アリバイというからには、それなり

 の出来事が有ったのよね。・・あとで 詳しく聞きますからね。 ほんとうの事を

 聞かせてほしいわ。」

 

「 ・ ・ ・ ・」

 

「なにがあったのか・・、一夜の出来事 恋の矢で 、見違えるほどの綺麗な女に 生まれ変

 わるなんて・・ 中で、ゆっくりとお聞かせ願いましょうかね。もうすぐ裕樹さんも

帰るから、うちの旦那様にも聞かせてあげてネっ」