・完売 済の あとは・・

 

 若い男女のお二人さま、、結婚されて・・まだ新婚さんと思われる御方と見え、、

 和久井由香は、会社の制服でもある、白いブラウスに淡いブルー グレーのベスト・

お揃いのタイトスカート姿で、水回りからキッチン、リビングなど一階をご案内すると、二階の部屋の方へと上がって行く。

 

リビング仕様の部屋に置かれたデスクの前には、奥田部長と笹井女史が並んで座り、携帯に収められた画像を繰っているように見える。  すると、笹井さんが、

「洋介さん ちょっと・・」 と 、笹井女史が神野洋介を呼び寄せる。 傍に行くと、

 

笹井さんが手にする携帯には、一軒の新築であろう戸建てが映しだされている。

「この一軒家、本社から3キロほど西へ行った 〇町に、もう少しで完成の予定なんですって。この画像から転送してもいいんだけど ね。

でも、本社に有る専用のカメラに収めて置くことが決まりなんですって・・それで、休日明けに私と神野さんで撮りに行くことを 仰せつかったの」

 

次に売り出す一戸建ての広告を作成し、PCキャドを使っての間取り図面。販売企画も

営業の方で進めること、本社営業部の方からお達しが出たようなのだ。

 

二階からお御二人様と由香が 降りて来くる。 ・・ところが、由香を見ると、いつもの顔色ではなくどこか、、赤みがかっているかのような・・。

 

奥田部長と笹井女史は立ち上がり 「 いかがでしたでしょうか。日当たりも良くて、

ここから駅まで10分少々と交通の便も良く、、近くにはスーパーや学校などの環境

も整っていて、住みよい所だと思うのですが・・」

 

 「まあ、どうぞ、お掛けください」 と、お二人に腰掛けることを勧める洋介。

 由香が、奥からお茶を持って、二人の前に差し出すと、、二人は顔を見合せ・・

 ・・契約することを、、少し 迷われて いるかのようにも・・。

 

 今日は休日で、多くの方が興味深く戸建ての回りを見て回っている。

 奥田部長の手元には契約書類も置かれ・・・。

 

  旦那様と思われる 御方が 「 ・・では、仮 契約させていただきます。」

 

「ありがとう、ございます・・ローン等の詳しくは、後日、〇〇支店営業部の奥田と、井上が説明させていただきますので、、近日中にお待ちしております。・・」

 

「 和久井さん・この ” 契約完売済 ”の紙を 玄関のガラスに張っておいてください」

 

 「あ り が と う ございました 」 洋介と由香は、玄関で二人を お見送りをすると

 洋介は、携帯で、車タクシーの手配をする。

 仮契約のサインを済ませた、お二人様がこのモデルハウスをあとにする。

 

   時計を見ると・・お昼を回っている。  すると、部長が、

「皆で、駅前の鮨屋にでも、昼の食事に行こうか?」

 

  顔を見合す 洋介と由香。 そして洋介が、

「 自分と 和久井さんは・・午後の予定を立てていまして、タクシーで移動しますので・・申し訳ありませんが、、お先に・・」

 

「 ああ、いいんですよ。私は笹井さんと食事をしてから・・一度支店の方に寄って

  帰りますから・・ ご苦労さん、お疲れです。」

 部長と笹井女史は 微かな笑顔を浮かべて 顔を見合せる。

 

  日曜出勤でもあり、洋介と由香は 、今夜の食事から月曜 火曜の代休となったことに

浮き立つ思いで、カバンバックを手にすると、

 

「洋介さん、私 どこかで ドレス 服を着替えたいの・・」

「ああ、そうだね・・カラオケにでも 寄っていこうか と車タクシーに乗り込んだ。