裏版・おたっきーの好きな言葉は「前へ」です

裏版・おたっきーの好きな言葉は「前へ」です

明大ラグビー・千葉ロッテマリーンズを追いかける、おたっきーブログの裏版です。

日々の喜怒哀楽をここに書き綴りたいと思います。

ちなみに現在の裏版の管理人は、表版の管理人ではありません(笑)




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AM8:00。

80を超えた祖母は、毎朝決まった時間に、離れて住む娘のもとへメールを送る。

「変わりはないですか、こちらはいいお天気です・・・」

のんびり返信を考えていたりしたら、返信を待たず2通目がきちゃうのよ、と母は苦笑する。


AM11:00。

「仕事が産休中で時間を持て余していることでしょうから、定期便を送ります。変わりはないですか・・・」

ここ最近、ほぼ毎朝のように、母からメールが届いている。


出産を通して、私が母の人生を追体験しようとしているように、

母もまた、孫を迎えることで祖母の人生をなぞろうとしている。


この先、私はまだ知らぬ母の葛藤を思い知っていくのだろう。

母も、祖母の心の内を理解していくのだろう。

祖母の境地に辿り着くまで、母も私も長い道のりを歩く。

祖母から毎朝届く母へのメールは、その大切な道しるべだ。


先日、夫が風邪をこじらせ寝込んだ際、私にできる思いつく限りのことは、母が私にしてくれたことだけだった。

ゆずをむく手を止め、若かりし母、祖母の姿に思いを馳せる。


子供が腹を蹴り上げた。

夫の咳き込む声。

「ゆず茶、砂糖入れる?」

台所から響いたその声は、私のものだったのか、いつか聞いた声だったような。

網戸にとまった蝉の鳴く声。

窓の外の濃い緑の公園、居間のテレビから流れる甲子園の中継、

洗濯に、買い物にと立ち働く母。


一人遅い朝食をとって、私はまた眠りに落ちる。


変わらない景色の中、

家を出た時に置き去りにしてきた子供時代の自分が、ひっそりとこちらを見つめている。


父の話す声。

仕事で盆も正月もなかったような父の声が、日中家の中で聞こえるのは稀なことだった。

「せっかく帰ってきてるんだから、ふかひれの、あっただろ」

父は去年定年退職したのだ。

「あれでスープを作ればいいよ」

一昨日久し振りに顔を合わせた父は、願掛けと言って髭を伸ばしていた。

「いいよ、俺が作るんだから触るな!」

短気なのは変わらない。


いつもの夏と違うのは、帰省した娘が妊娠していること。


膨らみ始めた腹越しに、気の早いプレゼントが掛けられた梁を見る。

冬生まれの初孫のための、水色のちゃんちゃんこ。


ただただあなた達の子供であればよかった、本当の子供時代が終わる。

私を見つめていた幼い私の残像は居場所を失くし、

止まっていたかのような家の中の時間が流れ出す。

シャッターの閉められた駅ビルの植えこみに腰掛け、
数分前に宿泊の約束をとりつけた友人の迎えを待つ。


同じように飲んだくれて終電の過ぎた駅のホームから閉め出された人たちが、
ある人は一目散にタクシー待ちの列へと走って並び、
あるグループは新たな会場を探しに再び街へ繰り出し、
気楽で幸福な独り者はとりあえず植えこみに腰掛けフーと息をつく。


見上げれば、駅ビルの天井から吹き抜けのホールいっぱいに吊り下げられた、巨大なクリスマスツリー。
暗がりの中、オーナメントたちは息をひそめて静かに鈍く輝いている。

ツリーのシルエットはどんどん闇を飲み込んで広がっていき、

アスファルトごとその大きな宇宙船に吸い上げられそうな気持ちになる。

・・・がくん!
ひっくり返りそうになった頭を持ち上げる。


駅前の広場から、タクシーがひとり、またひとりと人をさらっていく。

横断歩道の向こう側から、ママチャリが一台やってくる。
寝床難民のどうしようもない友人に、いつもの笑顔を向けて。


Santa is comming soon.
Merry Christmas!