AM8:00。
80を超えた祖母は、毎朝決まった時間に、離れて住む娘のもとへメールを送る。
「変わりはないですか、こちらはいいお天気です・・・」
のんびり返信を考えていたりしたら、返信を待たず2通目がきちゃうのよ、と母は苦笑する。
AM11:00。
「仕事が産休中で時間を持て余していることでしょうから、定期便を送ります。変わりはないですか・・・」
ここ最近、ほぼ毎朝のように、母からメールが届いている。
出産を通して、私が母の人生を追体験しようとしているように、
母もまた、孫を迎えることで祖母の人生をなぞろうとしている。
この先、私はまだ知らぬ母の葛藤を思い知っていくのだろう。
母も、祖母 の心の内を理解していくのだろう。
祖母の境地に辿り着くまで、母も私も長い道のりを歩く。
祖母から毎朝届く母へのメールは、その大切な道しるべだ。
先日、夫が風邪をこじらせ寝込んだ際、私にできる思いつく限りのことは、母が私にしてくれたことだけだった。
ゆずをむく手を止め、若かりし母、祖母の姿に思いを馳せる。
子供が腹を蹴り上げた。
夫の咳き込む声。
「ゆず茶、砂糖入れる?」
台所から響いたその声は、私のものだったのか、いつか聞いた声だったような。
