灰混じりの香り。
くらくらする香水。
してやったり、って笑顔。
上から見下ろす瞳。
顔の両側に銀が光るおっきい手。
ぴんっ、て髪を弾いてく指。
ミラーリングの指輪。
ばいばい、の声。
また笑顔。



朝も昼も夕方も
もうあなたを
意識下から離せない。




甘いものが大好きで
コーヒーも紅茶も嗜んで
意識を攫う香水を漂わせて
煙草の香りすら、もう当たり前で





あなたのキスはどんな味?
甘いのか苦いのかわかんない。

あなたの体温は高いの?
でも汗掻いてるとこ、見たことない。

あなたは、………どんな人?
特徴を上げても、何にも足りない




怖いくらい、欲に溺れる。

優しくして?
でも虐められたい。


あぁもう、いっそ壊してほしい。
あなたしかいらない、
あなただけのあたしになりたい。



















理性が崩れる夜の空。
煙草の味を知っても足りな過ぎて、もどかしい。



———あなたが、欲しい。


ただ、そう思っただけ。


キスを求める唇で
あなたの喉にとびきりの痕を。



口笛が無造作のその唇で
この喉を食い千切るように。






猛獣より野獣。
獣より化け物。

尻尾を振らない愛想もない
ただお互いを喰らうためだけに。






究極的に生存戦争。

縄張り争いで殺し合う。







水面下にある隠しきれない犬歯。

肉を咬み切る鋭利な凶器。




この先に何があるかもわからないのに

お互いだけには歩み寄れないらしい本能。




咬み合い
喰い千切り合い
殺し合う。












煙草の紫煙が消えたら






Let's Dancing?



















死ぬまで殺し合おうか。




愛の向かうまま
牙の向くまま

その視線が向く先には






あなたとあたししかいない。


















生き残るのは片方だけ。



互いの世界が終わるまで



満たされない欲望の彼方





あなたと2人、踊りましょう。



世界で一番甘美で
世界で一番殺意にまみれた音楽を。




シャツの袖から見えるその腕が

やけに目について離れない。


指にしっくり合うその指輪が

室内の光で鈍く光る。


向いた視線は

動きを止めて熱を灯す。



煙草に火を点けるその動作の

音と煙とその顔が好き。























その腕に
その指に
その目に



捕らわれて
灼かれて

殺されたい。







愛欲に似た黒い赤。


くすぶる疼きがじわじわ。



憎悪に似た酸化混じりの銀。


燃えそうで燃えない、導火線。








好き、で、憎い。
憧れで吐き捨てる。



相反するこの感情は
行きどころのない分かれ道。







歪ませてやりたい。
その首に手をかけて力を込めて


殺してみたいけど愛してる。





その手で襟首を締め上げられて
あなたに見下ろされた景色を


正直ぞくぞくするくらい見てみたい。








望む形はなんて破滅。
こんなに怖い形は想像してなかったのに


震えるくらい殺してみたい。
震えるくらい殺されてみたい。


リセット出来ない現実は
この考えを馬鹿げた妄想と言う。










妄想上等。
想像だからあたしが生きてる。


そうじゃなきゃ




ここにいないし
いさせてやらない。


















暗くて深くて重くて、痛い話。






『愛してるから殺してください』

『じゃなきゃ、殺していいですか?』






怖くて恐くて、眠れない。



そんな錆び付いたあたしの銀に
こびり付いた乾き気味の血の色。



















あなたを殺したいくらい


あなたに殺されたいくらい




ひどくあなたを、あいしてます。



殺し愛。
殺し合い。

あなたとあたしの、ころしあい。