恋に恋する年頃じゃない。

この歳になって恋をするのは
危険かスリルか、




―――愛になった。







私は愛に恋してる。

焦がれて焼かれて、愛してる。





愛されたいと願って

あなたを故意に愛してる。




大事にされたい反対側は

あなたに酷く、壊されたい。












体が震える。

声が疼く。






どうか、私を



虐めて、ください―――


























ケーキのレシピを見ながら

オイルライターの火を思い浮かべる。




少しかがんで
眉間にシワを寄せながら

あの人が煙草に火を点けるしぐさ。



見慣れない格好は拍車をかけて
異質な普通、を思わせる。




例えばその指だったりとか
私に向ける視線でも
不意に呼ぶ、その声は





私、が堕ちてく枷になる。























その指は
どんな風に触れるの?

その声は
どんな風に囁くの?

その目は
どんな風に射殺すの?







その紫煙が


あなたを
消さなくなる。























感覚でも香りでもその味でも

何だっていいから。



あなたを知りたい。


あなたが感じるその紫煙は

あなたに何をもたらしてるの?



10分の1を知ったら
残りの10分の9を知りたくなる。







地面が見えない。
紫煙は立ち上って消えてくから。


あなたは紫煙の香りがするのに
紫煙みたいに消えてくれない。




私のリアルに、戻れない。


















愛に恋する。

故意に愛する。



あなたを知りたいその欲が
私に紫煙を立ち上がらせる。









紫煙のようなあなたを

故意に愛してる。





紫煙のようなあなたの


愛に、恋してる。




シュークリーム


まんじゅう


クッキー


チーズケーキ


漫画


ピアス


ピンキーリング


また、まんじゅう


指輪


枝豆


オレンジジュース


………パスポート?








甘いあまい、優しい。
オレにドSな甘党の先輩。

小指=薬指の先輩。





漫画大好き。
焼き肉大好き。
甘味大好き。



仁義を通す、背の高い先輩。







ピンキーリングは真似っこ。
甘いものは発進。
漫画は受動。
会話は進行形。
枝豆は思い出したタイミング。
最近特に、蔑まれた目線が多い。



















お兄ちゃん、みたいな兄貴。
オレの尊敬する、好きな先輩。
他の先輩との差は三馬身くらい。

広い背中に高い目線。
オレはちっちゃいからオレだって。


………まだ成長期!!





にこっ、
→ニヤッ、
→………ォィコラ、
→すいませんっ!←光速
→え?←何が?
→∑何で?!←ホントだよ
→何となく。
→∑ぅおーい




基本スタンスオレはM。
←イニシャルだからいんですー。

基本スタンス向こうS。
←パスポートで半ギレ。



















優しい、先輩。
ドSの甘党。



今日もてててっ、と後を追い掛けて走る。


振り返って(意味もなく)蔑んで

うりうりってつっついて
=∑み゛っ!!




あ、猫好き。












あの人とは、違うよしよし。






それは安らぎ。
『それは照れ』。

それは慰め。
『それはスキンシップ』。

それは大好き。
『それは好き』。






















優しい漫画好き。
猫好きで甘党。
ドSの先輩。



お兄ちゃんみたいな兄貴の先輩。
構ってもらえて笑顔になれる。



明日も構ってくれたら嬉しい。


甘党のドSな先輩。






悪戯好きはお互い様。



そっちも楽しんでるんだから
あたしもからかって笑う。
















しちゃいけないことをしたら
もちろんダメだけど





スリルを楽しむじゃれ合いは
目を瞑ってもいいんじゃない?


























雨の日は寒いから嫌い。



休みの日に傘を差して歩くのは
情緒があっていいものだけど

仕事の日に降られるんなら
当たり前に不機嫌全開。



寒い!
濡れる!
湿る!
怒られたらどうすんだよ!





苛々がピークに達しても
気持ちの熱は雨に消されるのがオチ。
寒くて寒くて震えて縮こまって
帰って来て手を擦って

上司が出してくれた正義の味方、
ストーブ目指して一目散に突撃。



………あったかい……
あー………しあわせぇ………




これでホットココアかホットミルクでもあれば
間違いなく幸せの極みなんだけど

職場内は飲食厳禁。
当たり前です。
いいことはそんなに続きません。







しばらくあったかさに酔いながら

つらつら昼休みのひと時に
眠りの旅に飛び立とうとして










ふっ、と

目の前で止まる気配。











ゆるく目を開けてみると



同じようにストーブにかざす
オレより少しおっきい真っ赤な手。








………?

ふっと感じた既視感に

視線を上にすると





















―――お疲れ様。寒いね。


























既視感は当たり前。




















………おかえんなさい…?
………そう、ですね……。
今はあったかいですけど……



























この気配も
この匂いも
この手も


貴方だからに決まってた。


















時々手を擦りながら

今日の仕事はどうだったね、とか

どこどこでこんなことがあった、とか


明日も雨みたいだね、とか




つらつら幸せのあたたかさの近くで

優しい甘さの傍で



取り留めもない普通の会話をしながら






どうしようもない幸せを感じてた。





















仕事が終わって
とりあえずひと息つこうかな、って
甘い甘いホットカフェオレを買う。



体の中からじんわり。
甘さとあったかさが行き渡る。












………やっぱりホットの方がよかったよな………


少し前。
帰る直前に置いてきた小さい差し入れ。
ホットを置いても冷めるし
好きな銘柄はアイスだから

………しょうがない、よな……




誰かに言い訳しながら
置いてきたブラックのアイスコーヒー。



















………うん、だってなぁ………






―――何が『だって』?























………あ、れ?























目の前にはさっき置いてきたブラック。

と、
























………お早いお帰りで。



おかげさまで?






















さっき雨の中に出てったはずの
悪戯っちい顔の貴方。


























これ、ありがとね?



…まぁ、アイスですけど………



まぁ確かに、今はちょっと寒いかな…



…ぅ……じゃあ何かホット………



今飲んでるの、あったかいのでしょ?



………ええ、まぁ………甘いですよ?
(てか、もう口付けちゃってますけど…)





















ん、ひと口ちょうだい?









――――――ぇ、あの、



―――甘っ…



………さっき言いましたけど。






















待った待った。
何当たり前に飲んじゃってるんですか。


それ、オレの。
もう口付けちゃった、しかも甘いコーヒー…


いや、甘いってのは今関係ない。

他の人いるでしょ?!
何普通に飲んじゃってるんですか!!



















心の叫びは一言も口からでない。

そんな一瞬の出来事。




















ちゃんと言ったのに………
やっぱ買い直しましょうよ。
まったく………



表面は取り繕ってても
内心は酷い乱気流。



や、いいよ。
もう行かなきゃ、そろそろ時間だし。



………あ、ホントだ……






時計に気付いて少し慌てた





その時に


















―――じゃ、代わりにもうひと口。




















ふっ、とコップを奪い去って

またやらかしてる暴挙。









っ、だから―――っ!?



















そのとき見せた
あの人の顔。






悪戯好きの
してやったぜ!って悪い顔。




















二の句も告げないオレは
すべての言葉に代わって









ふっ、と

小さく笑ってみせた。






そしたらあの人の悪い顔は引っ込んで



優しく、笑った。


























悪戯するならもちろん楽しく。

貴方がするならあたしも同罪。



愛もスリルも沢山詰まった




子どものようなそんな悪戯。























藤の下で眠る少女は

幸せな優しい夢を見ている。




眠る前に読んでた本は
ぱたん、と自然に閉じていた。






雨の日は嫌いだけど
貴方がいるなら寒ささえ愛しい。


















『イメージはいつでも雨、後、晴れ』











いつか貴方と
虹を掴む夢を見ながら。