☆毎日新聞☆
◇陸上 日本選手権クロスカントリー(25日、福岡・海の中道海浜公園)
◇男子 今井正人選手(トヨタ自動車九州)=31分19秒(44位)
かつて箱根駅伝を沸かせた「初代・山の神」が笑顔で現役生活を終えた。
39歳の今井選手が男子(10キロ)に出場し、大きな声援の中44位で
フィニッシュ。「重たい走りになったが、声援に背中を押してもらった」
と感謝を口にした。
「山の神」らしく、最後のレースは高低差のあるクロスカントリーだった。
観客からは拍手とともに「ありがとう」という声も送られた。今井選手は
走りながら時折笑顔を見せた。
2023年10月にあったパリ・オリンピック代表選考会「マラソングランド
チャンピオンシップ」(MGC)に出場したが、制限時間を超えたため
途中失格となった。「日本の中でも勝負できる位置にいないと痛感した」
と引退を決意した。
順天堂大時代に箱根駅伝の山上りの5区で3年連続で区間新記録を樹立し、
「山の神」と呼ばれた。その異名はその後山上りを得意とする選手に引き
継がれた。
実業団入りした後は「山あり谷ありの、谷のほうが多かった」。15年には
世界選手権(北京)のマラソン代表に選ばれたが、大会直前の不調で欠場
するなど、苦しいことの連続だった。それでも「その度に成長させて貰えたし、
乗り越えた時の喜びもたくさん経験できた」と振り返る。
今後はチームでコーチとして後進を育てる。「選手に寄り添いながら、伴走者
として一緒に考えて、悩んで、悔しがれるような存在になりたい」。歴史に
名を刻んだランナーが、指導者として新たな道を進む。