さて、初日の病室の話に戻るが、

その後も看護師さんが血圧を測りに来たり、

検温やら問診やらでパタパタしていた。

・・・僕にとって一番困ったのは、おしっこが

むちゃくちゃ近くなった事だった。

 これは点滴のせいみたいで、

アルコールの毒を体内から早く抜く為に

多分、利尿剤を入れているのだと思う..。


・・大量飲酒生活をしていると、尿が

出にくくなってくる..。

 酒以外の水分を摂らない為だ..。

入院前は尿意を感じてトイレに行っても、

ちょろちょろっと出るだけ( ̄_ ̄ i)

・・・しかも、尿の色がド汚い!

 紅茶みたいになっていた。

それを見るたび僕は

「あ~...体液が毒にまみれているんだナ~」

と、ため息をついていた。

 
 ・・看護師さんは

「トイレに行きたくなったら言ってくださいネ~(^^)」

・・・と気さくに言ってくれるのだが、

なにせ30~40分ごとに、トイレへ行きたくなる。

我慢できずナースコールを押すと、

看護師さんが点滴を持ってトイレに

連れ添ってくれた。

僕が「すいませんネ~..普段はこんなにトイレが近くないのですが..」

と言うと看護師さんは「いんですよ!いんですよ!・・点滴を

打つと誰でもそうなるんですから、我慢しないでくださいネ」

・・と感じよく答えてくれた。

「そっか、誰でもそうなんだ」

・・・と思ったが、やっぱり遠慮してしまう..。

尿意を感じてから10分~20分は我慢していた。

 しかし、出したいものは出したい..。

頻繁に看護師さんとトイレに行った。

 ・・そして感激した事はトイレに行くごとに、

尿の色が薄くなっていく!

どんどんどんどん透明になっていく!

 「ああ、浄化されて来てるな~♪」と

良い気分になった。

 一息ついた頃、相部屋の人と話をした。

まずは60歳位のK田さん..。

 「私は入院前、酩酊状態でパスタを茹でたら

肩から湯をかぶり、大火傷をして救急車で運ばれたんですよ

、ここに入院しながら外科へ通院しているんです。近日、

片腕の表側をほとんど、お尻の皮を剥いで貼るんです」

・・と言ってきた。

ヒィ~~!コワッ(゚Д゚)ノ

・・・酒は、体内を蝕むだけではなく、

大事故を起こすから恐ろしい( ̄д ̄)

 そして、そのK田さんは、翌日ナゼカ、

アルコール病棟から軽度の精神病棟へと

移された。

 後日、他の患者さん(女性)が話していたのだが、

「あたし、ここの病院二度目なの..。その時、K田さんも

一緒だったんだけど、あんなんじゃなかったのよ..。

別人みたい」と言っていた。

・・・確かにK田さんは、話し方は普通なのだが、

歩き方がカラクリ人形のようだった。

・・・長期の大量飲酒により

運動障害を起こしたのかな~..??(@_@;

 
 K田さんが病室からいなくなると、

30歳位の青年と二人きりになった。

 青年は、話しかけやすい雰囲気だったので、

僕は「やっぱり、これ(コップを煽るしぐさ)が過ぎたの?」

・・・と聞くと「俺、ここは二度目ですがアル中じゃないんですよ」

・・と言う。

「え?じゃあなんでここにいるの?」

と聞き返した。

「ウィルス性肝炎なんです。・・なのに無理矢理

入院させられて..。

・・だから、4~5日したら希望退院します!」と答えた。

 続けて青年は語った。

「俺は入る病院がここじゃなくて内科なんですよ」と..。

 僕「アルコール性肝炎じゃなければ、そうだよね。

じゃあ酒は飲まないんだ?」と聞く。

「いや、一日にビール二缶位は飲みますが..。」

・・と言う。

(ウィルス性肝炎でビールは二缶でもダメっしょ(-_-)

・・・と思ったが、それは口に出さなかった。

 そして青年はこうも語った。

「ここの病院は、患者にするため、誰でも

アルコール依存症と診断するんです。前に

入院した時は、ウィルス性肝炎なのに

抗酒剤(後に説明)を飲まされて、

顔中に薬疹が出来たんです!

それでも満期の三カ月ここにいたんです!」

・・・そうか、そうなのか...しかし、待てよ?

一度目の入院で、ここは自分が治療する科と違う。

・・と判っているはずなのに、ナゼここへ任意入院

してきたのだろう? 

・・・矛盾が走ったが、それも口に出さなかった。

取りあえず青年の話はここまでとしておくが、

K田さんと入れ替わりに患者さんが入ってきた。

この人も気が弱そう..。

向こうから「宜しくお願いします」と

言ってきてくれた。

僕「こちらこそ宜しくお願いします」

名前は阿部さん
(このブログに出て来る人は僕を含めて全員仮称)

歳を聞くと53歳で僕より一つ年下。

 いでたちは小柄で痩せ形。

目が小さく

まんまるの銀縁メガネをかけ、

オカッパ頭。

感じは良いのだが、初対面の時は

茹で上がりのタコみたいな顔色で、

頭から湯気が出そうな雰囲気だった。

(あ~...この人も入院直前に酒との別れで

一杯、ヤッツけて来たナ~)と、すぐ判った。

 そうゆう人は多いようで、あまりに泥酔していると、

初日から地下にある反省室・窓の無い独房のような所

(通称VIPルーム)へ入れられるのだが、

酒気帯び程度だと大目に見られるようだ。

 そして夕食の時間になった。

夕食は入院4日目あたりから自分で取りに行くのだが、

入りたての場合、看護師さんが持ってきてくれる。

「はい、夕食ですよ~♪ 時間を見計らってトレイを

下げに来ますから」..と置いて行った。

 その夕食...普通の御飯が、小ドンブリてんこ盛り!

厚めの焼肉が三枚!

「入院初日で、このボリュームかい( ̄д ̄;」

・・と僕はビックリした。

 ・・大体、大量飲酒者は、あまり食べないので

胃が小さくなっている。

 ・・・が、残して何か言われたくもないので、

命懸けで完食した。

腹が苦しかった。

 看護師さんが器を下げに来た時、

「あら?全部食べたんですネ!すごい!」

と言う..。

 僕は「え?食べなきゃならないんですよネ?」

・・と聞いたら..。

「いえいえ、多ければ残したっていいんですよ、

今後、食事(小)にもできますが?」

とニコやかに言ってきた。

「出す前に言ってくれや~( ̄ー ̄;」

・・内心そう思った..。

その日の夕食以後、退院まで僕は

希望して『食事(小)』にしてもらっていた。

 ・・そんなこんなで、消灯時間21:00が

近づいてきた。 20:50時に

「間もなく消灯の時間です。就寝の準備をして下さい」

と放送が流れ、21:00ジャストに照明が消される。

・・見える光は緑色の『非常口』だけ..。

・・気持ちも暗くなる。

「入院しちゃったんだナ~」と実感が込み上げる。

しかし、入院疲れと、点滴に鎮静剤が入っているせいか、

日頃は不眠症気味なのだが、いつの間にか眠っていた。

               つづく



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