30代前半


ある土曜日の朝鏡をみて絶句した。


寝癖でボサボサになった髪の毛のある部分に目が奪われた。



...は、  は、ハゲている、、。



鏡の中の自分が目を見開いた。信じられなくて少し震えて涙がでてきた。

今思えば、自分のことで泣いたのは久しぶりだったかもしれない。


洗面所から部屋に戻り手鏡でマジマジと『禿げ』を見つめた。涙がこぼれる。なんで私ってこんなについてないんだろうと絶望に陥った。なんもいいことないじゃん...


鏡の中の禿げを見る。

センター分けにしている分け目の右側の後頭部寄りに100円玉くらいの大きさだ。全く毛が生えていないわけではなく、数本が悲しげに頑張って生えていた。一生懸命鏡越しで禿げを見るのだが見にくくて目が痛くなりスマホをとりだした。

写真を撮っては見て、ブレては撮り直して、また鏡で見たり、とにかく自分の人生初の禿げがどんなものか見るのに必死になっていた。


そんなことをしていたせいなのか

1時間もしないうちに立ち直った。

泣いても生えてくるわけではない。

なってしまったものは仕方ない。


それに、私には救いが2つあった。

1つ目は近くの髪の毛で隠すことができたのだ。隠せなかった時、もしくは真後ろで自分では確認できなかった時とは違い私はコントロールして隠せるのだ。この時隠してくれた髪には今も感謝をしてもしきれない。


2つ目は実家暮らしの時に母が円形脱毛症になった話をしてきたことを思い出したのだ。あの時はへぇ〜そうなんだと人ごとで、全然聞いていなかったが、自分の身近な人がなって完治しているという事実が根拠もなく自分もすぐ治るだろうと思わせてくれた。禿げを発見したあの日、お母さんに急いで電話して詳しく聞いたことは言うまでもない。



きっと体が休んでって

ちゃんと悲しんで苦しんで

我慢しないでって

サインをくれたんだなと思った


禿げさせてごめんね。

犠牲になってくれたんだね。

大丈夫だよ、わたしがんばれるよ。



つづく、、、