スタティック測量ってなに? | ケーエステック株式会社

スタティック測量ってなに?

スタティック(static)とは?

あらかじめ与えられた状態などが変化しないことや、状況を通じて一貫して内容が維持されること。

対義語は「動的」「ダイナミック」(dynamic)。 IT用語辞典e-Wordsより


ではスタティック測量とは?

GNSS受信機による干渉測位方式を用いた測量の事です。


なら干渉測位方って?

2台以上のGNSS受信機を使用し、最低30分から数時間、

全点同時にGNSS衛星からの電波を受信記録します。

ただし、共通の衛星が最低4個、もしくは5個以上受信する必要があります。

その受信したデータを専用のソフトを使用し解析すると、

2点間の距離と方向角(基線ベクトル)を求める事ができる測位方法です。


従来はトランシットや光波で直接2点間の距離や角度を測っていましたが、

GNSS受信機を使用すると、直接見えない距離も測れるになり手軽に高精度の測量が可能になってます。


肝心のスタティック測量って?
GNSS受信機を複数台(最低3台)使用し測点上に三脚やアンテナタワーを設置、

共通衛星4個以上、60分以上の同時観測をする測量方法がスタティック測量です。
(共通衛星5個以上、20分以上の同時観測をする測量方法は短縮スタティック測量)




実際のスタティック測量の流れは?


Ⅰ 平均図

 

平均計画図に基づいて、選点・埋標を実施し平均図を作成します。




ケーエステック-平均図

与点の数は

1級と2級では

2+新点数/5以上(端数切り上げ)

3級4級は3点以上


その他、路線の辺数・路線長など細かく定まっています。

観測IDは与点は301~ 新点は001~ 共に北から順番に付けます。


※公共測量の手続きをすると地理院から助言が得られます、

  日本測量協会も相談に乗ってくれます。




Ⅱ 観測図


平均図をベースに踏査結果等を考慮し観測図を作成します。

   ※セッション名は1月1日が1で12月31日が365となる通日を使用します。

    Aが1回目、Bが2回目、Cが3回目・・・ケーエステック-観測図

必ず重複基線か異なるセッションの環閉合差で観測値を点検する。



Ⅲ 観測


スタティック法では

観測時間は60分以上

データ取得間隔30秒以下(ライカは15秒が標準)

使用する周波数はL1(1周波)

最低衛星数は4衛星(共通の衛星数)

それに171Aセッション全ての受信が同時に観測開始と観測終了する。


だだし、10km以上の長基線の場合は

観測時間は120分以上

使用する周波数はL1+L2(2周波)

最低衛星数は5衛星(共通の衛星数)

ケーエステック

アンテナ高は観測記録簿に記入し、観測前と観測終了時に必ず確認しましょう!


Ⅳ 解析


Aセッションにある既知点の座標値から計算を始める。

※入力されたアンテナ高が観測記録簿と同じか必ず確認しましょう!


ケーエステック-解析図


Aセッションでは既知点が301と302と2点あるので、等級が高い方や成果値が新しい方、

または、受信環境が良好な方を解析始点とします。

10km以内の短い基線は60分以上のL1(1周波)解析、

10km以上の長基線は120分以上のL1+L2(2周波)解析とする。


解析順は①②③・・・⑥⑦⑧になります。

重複の基線①と⑤の向きは同じが望ましい。


すると下図の結果になります。

ケーエステック-解析結果

①~④の解析

与点2(302)→新点2(002)→新点1(001)→与点1(301)→与点2(302-1)
観測誤差で302≠302-1となります。


⑤の解析(重複基線)

与点2(302)→新点2(002-1)

これも観測誤差で002≠002-1となります。


「重複する基線ベクトルの較差」の制限は

水平(ΔN、ΔE) 20mm 高さ(ΔU) 30mmです。


⑥~⑧の解析

171Aセッションで新点2(002)の座標値が決まったので、

⑥の始点座標値は新点2(002)を使用します。

※メーカによっては新点2(002-1)を使用する場合もあります。

観測誤差で302≠302-2となります。




Ⅴ 仮定平均計算


与点2(解析始点)の座標値のみを固定し平均計算を実施します。

ケーエステック-仮定

すると環閉合が0になりますが、①~⑧の各基線は延びたり縮んだり、

それが精度管理表に記載する基線ベクトルの各成分の残差(20mm以内)です。

それに与点2のみを固定しているので、与点1と与点3の座標値が算出されます、

その座標値と成果値を比較するのが「水平位置の閉合差」と「標高の閉合差」です。


ここまではわかりましたか?



Ⅵ 実用平均計算


与点の整合性や観測値が制限内ならば、全ての与点の成果値を固定した平均計算を実施います。

採用する基線は平均図の基線のみになります。

ケーエステック-実用


仮定平均計算と同様に、与点の整合性や観測誤差により各基線が延びたり縮んだり、

それが精度管理表に記載する斜距離の残差です。

1級 80mm 2級 100mm 3級・4級無し



最近は三角点が改測され整合性がばっちりで、斜距離の残差=観測誤差になっていますが、

昔は整合性が悪かったため、新点間の距離がTSの実測値と異なると問い合わせが多かったです。

(観測記簿の基線長とTSの実測値が同じなので納得)



少しはスタティック測量とは?を理解されましたか?

わかった方はこれで測量士(^_^;)


おそまつでした!


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