セミ・ダイナミック補正って何だろう?
日本列島は地震などの地殻変動によって日々歪んでいます。
その変動量を全国約1200ヶ所(約20~25km間隔)に設置された電子基準点を利用した
GPS連続観測システムGEONET(GPS Earth Observation Network System)で
1997年頃より正確に把握しています。
(なので大きな地震が起こると速報で○○方向へ約○cm動いたと発表できるのです)
地殻変動の監視のみに電子基準点を利用するのはもったいないので、
基本測量や公共測量(1級基準点のみ)でも利用する事が可能になりました。
でも問題が発生!
それは設置後14年も経過すると地殻変動量が無視できない値に。
電子基準点の座標値を測地成果2000から2005とか2010など5年から10年で更新すれば補正は不要です。
しかし、電子基準点は日々座標値を更新可能なのですが、膨大な量の既設三角点の変動量を
5年毎や10年毎に改測するのは困難です。
なので電子基準点の座標値を初期値(測地成果2000)と定めた1997年を「元期(がんき)」とし、
測量を行った時点を「今期(こんき)」とする歪みの量の補正をするセミ・ダイナミックが登場です。
三角点のみを与点とした基準点測量にもセミ・ダイナミック補正が必要では?
三角点は約1~2km毎に設置されているので、与点も新点も近い範囲にあります。
なので同じ方向に歪んでいるか、歪み量の影響が少ないから無視できます。
電子基準点のみを与点とした場合は、
与点A→新点→与点Bの距離が最短でも10km+10km=20km程度と広範囲になるため、
与点Aと与点B、そして新点位置の変動量やベクトル方向が大きく異なる場合があり、
各地点に沿った補正をする必要がります。
セミ・ダイナミック補正をする場合の作業手順
(ただし、1級基準点測量で電子基準点のみを与点とする場合)
①従来と同じ方法でGNSS観測を実施します。
(10km以上は2時間以上の観測。ただし、1級GNSS測量機を使用し2周波観測)
※もちろん長基線の検定証明書が必要※
②基線解析の始点座標は電子基準点の測地成果2000を使用する。
(大地震等で成果値が改測される場合があります、使用する成果値が最新か確認してください)
③基線解析後に与点(電子基準点)の座標値をセミ・ダイナミック補正支援ソフトウェア(SemiDynaEXE)
を使用して元期→今期へ変換します。
(毎年補正パラメータが更新されるので最新のを使用してください)
④今期座標と解析結果を使用て「電子基準点間の閉合計算」を実施します。
(元期座標の時より地殻変動量を補正しているので閉合差が小さくなはずです)
⑤既知点の今期座標を使用して「網平均計算」で新点の今期座標を求めます。
⑥新点の今期座標を「セミ・ダイナミック補正支援ソフトウェア(SemiDynaEXE)」を使用して
今期→元期へ変換します。
⑦こうして得られた新点の元期座標値が成果になります。
セミ・ダイナミック補正支援ソフトウェア(SemiDynaEXE)を使用すれば、
解析ソフトウェアと網平均ソフトウェア共にセミ・ダイナミック補正に未対応でも計算が可能です。
だだし、網平均は楕円体高で計算が可能かメーカに確認してください。
セミ・ダイナミック補正パラメータ2011が公開されました!
(2011年6月27日更新)
「2011年度版地殻変動補正パラメータ」 ダウンロードはこちらへ
←国土地理院HPへのリンクです!
当社では平成元年よりGNSS測量(従来の名称はGPS測量)に取り組んでいます。
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