阪急、近鉄など３球団で８度のリーグ優勝を達成し、
名監督と評された西本幸雄氏が２５日午後８時４０分、心不全のため
兵庫県宝塚市の自宅で死去した。９１歳だった。葬儀告別式は未定。
西本氏は１９５０年に毎日へ入団。現役生活は６年間だけだったが、
１９６０年に大毎の監督として優勝すると、その後は弱小球団だった
阪急、近鉄を常勝チームに育て上げるなど、２０年間の監督生活で
華々しい成績を残した。８度のリーグ優勝を果たし、３球団を
優勝に導いたのは、西本監督と三原脩監督の２人だけ。
しかし日本一にはなれなかったことから『悲運の名将』と呼ばれたが
輝かしい功績が色あせることはない。
厳しく、そして愛情あふれる指導で、弱小球団を常勝チームに
育て上げた。１９６３年、阪急の２軍監督から１軍監督に就任した
当初は、それまでＢクラスしか経験のないチームの改革が
思うように進まなかったが、地道な土台づくりが５年目で一気に開花。
１９６７年からの３連覇を含み、１９７３年までに５度の優勝を達成。
福本豊、山田久志らが活躍した黄金時代の礎を築いた。
１９７４年からは同じ関西に本拠地を置く近鉄の監督に就任。
阪急よりさらに弱小でパ・リーグのお荷物とさえ言われていた近鉄を
一から鍛え上げ、１９７９、１９８０年には連覇を成し遂げた。
１９７９年の広島との日本シリーズ第７戦では、１点差の九回に
ノーアウト満塁と攻め立て、監督生活初の日本一が見え始めたが、
スクイズを江夏に見破られるなどして、そのまま敗退。
「まず同点にして、なお勝ち越しの走者を残せる。積極戦法だと
考えた」。日本一に届かず、またも悲運を味わうことになったが
「それはオレだけのこと。選手の頭の上にかぶせるのはかわいそう。
責任は、すべて自分にあるのだから」と潔かった。
また、選手に対して監督信任投票を実施したり、時には選手に
鉄拳制裁を加えることもあった。それでも多くの選手はオヤジと
慕ったという。１９８１年、近鉄監督最後の日。日生球場で胴上げが
行われたときは近鉄のみならずかつての教え子も多い阪急の選手も
集合し、人望の厚さをうかがわせた。１９８４年オフには、
長期低迷が続いていた阪神から監督就任要請があったが
高齢を理由に辞退。多くの阪神ファンが落胆したこともあった。
その後は愛情あふれる辛口コメントで、球界のご意見番として活躍。
趣味のゴルフで近年、エージシュートを達成するなど、晩年まで
元気な姿を見せていたが、夏以降は体調を崩していたという。
９１歳の大往生。お疲れ様でした。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。