『篤姫』と同じ田渕久美子氏脚本のNHK大河ドラマ、
『江(ごう)~姫たちの戦国。浅井三姉妹の三女・江を演じる女優、
上野樹里さん(24歳)の天真爛漫すぎる?演技に賛否両論とか。
番組はスタートから平均視聴率20%以上をキープしてきたが、
『本能寺の変』の翌週、『光秀の天下』では19・6%とついに
20%を割ってしまった。私自身もここ2~3週は観ていないが、
上野さんの代表作で映画にもなった『のだめカンタービレ』を
引き合いに、「何をやってものだめに見える」「トヨエツ(豊川悦司)
演じる信長に対して、現代っ子みたいな口調はおかしい」などの
批判が出ていると言う。
時代劇に詳しいコラムニストのペリー荻野さんによると、
「上野樹里は、大河で脱・のだめをしようとしているが、
子供時代を演じていることもあって、のだめのイメージと
比較的近いところにいる」と指摘。その上で、今年の大河は
ファンタジーとして見るべし、と次のようにアドバイスする。
「いまの江は、例えるなら、ピーターパンに出てくるティンカーベル。
いろいろな場面に姿を現す妖精なんですよ。江が信長や光秀と
話し合ったり、家康と伊賀越えをするなど史実と違うところが
結構あると批判を浴びてますが、ストーリーに主役を何としてでも、
のっけないといけない。特に史実では(行動が)明らかではない女性を
主人公にするときはそう。江がずっと部屋にいてはドラマにならない。
でもティンカーベルならそれが許される。“ファンタジー大河”と
思ってみれば、楽しめますよ」とか。
20%割れの大きな要因は、出足からドラマを引っ張ってきた
トヨエツ信長が、本能寺の変で出なくなったこともあるだろう。
荻野さんは、「柴田勝家役の大地康夫さんには頑張ってほしい。
男性の脇役は、演技派ぞろいですから。大河の中身が史実と違うと
いうことを“ツッコミ”から知って、そこから正しい史実を学んだり
歴史に興味を持つことができればいいのではないでしょうか」
と逆説的にエールをおくっている。
あくまで大河ドラマは史実に基づくフィクション。
大河ドラマが史実と異なるのは今に始まったことではない。
『独眼竜政宗』では主人公・伊達政宗を引き立てるためか
最上義光が過剰に悪逆非道の人物に描かれ、『新撰組!』では
史実では会った記録が残っていない近藤勇と坂本竜馬が
なんども顔を合わせている。『天地人』では、大阪夏の陣で
直江兼続らが大阪城の千姫を救出したように描かれたが
実際に救出したのは徳川家臣・坂崎直盛(かつての宇喜多詮家)。
そもそも時代劇全般で言えば水戸のご老公は諸国漫遊なんて
していないし。かわいそうなのは、まだ江が5歳くらいのときから
上野樹里に演じさせたことだろう。本能寺の変あたりまで
子役で引っ張ったほうが良かったかもね。