時系列では無くなるのだけど、髪の脱毛について書いておこうと思う。
私は脱毛する前までは”髪はまた生えてくる”とたかを括っていて、あまり大きな事とは捉えていなかった。
しかし私にとって治療中一番辛かったのは抗がん剤治療の副作用でも胸を失ったことでもなく、脱毛したことだった。
完全に自信喪失した。髪を失うことで見た目が変わり鏡に映る自分を見るのが嫌になった。外に出るのも怖くなった。
主治医からは抗がん剤を始める前に説明があり 抜け始めるのに2〜3週間、そして抜け始めると早いと言われていた。
髪が抜け始めたのは抗がん剤治療(AC療法)を始めて3週目に入った頃、髪がパラパラと落ちていき、そのうち束で抜けるようになった。
私は枕につかないようにセミロングの髪を後ろで一つに結んでワッチキャップを被って寝ていたが、数日経つと地肌が見えてきてシャンプーをすると両手にぎっしり。。。ほんとドラマで見るアレ
櫛を通すにも抜けた髪が引っかかって通らない
キャップについた毛やシャワールームを掃除するのも大変だったけど、なかなか丸坊主にする勇気がなく日本の友達に相談した。
友達:抜けた毛を見て嫌な気持ちになるなら私だったら丸坊主にするなぁ
うんうん!少し背中を押してもらえたことで気持ちの整理ができ腹を括った
そうと決まったら早い
ゴミ袋の端を切って頭から被り、パンツ一丁になってバスタブの中に置いた子供用の椅子に座る バリカンを持った旦那が”準備は良いか”と聞いてきたが、こちらが返事をする前に刈り始めた
安定の自己中人間
バリカンは襟足から上に向かってジリジリバリバリ
そして右から左にジリジリバリバリ.....
え?
私:ちょっと!下から上にやったら次も下から上ちゃうん?
旦那:そうなん?俺も初めてだから
私:怖いんですけどーー!
旦那:大丈夫 大丈夫
そう言ってUFOキャッチャーみたいに私の頭を鷲掴みしてバリカンで私の頭の上を暴走した。
バスタブいっぱいに広がり落ちた髪の毛と、鏡に映った坊主頭の自分を見て泣いた.....
人工毛のカツラは買ったけど、地毛が細い私には毛量も多いし鬱陶しくて苦手だった。どっからどう見てもIKKO(イッコーさんに謝れ!)
美容院で軽くしてもらうことも考えたけど、ハゲ面を想像されるのが嫌だった。
楽天でも安くて評価が高いカツラを二つ(ショートとボブショート)色はキャラメルブラウンとアッシュ系を選んで日本から送ってもらったのだが、実際に被ってみるとなんか違う。。。友達に写真を送ってみると
ショートは平野レミ
ボブショートのほうは阿佐ヶ谷姉妹
この二つは娘のおもちゃと化した。
私がどんな状況にあっても素直な意見をくれる友達には感謝してる。
それでも外出するときはカツラを被り、ズラだとバレないか不安で不安で仕方なかった。
初めて娘(8歳)に見せる時はショックで泣いてしまうのではないかと心配したが
娘:じぃじそっくり!
五分刈りの私の父に似てると言って爆笑し
抗がん剤治療が終わって髪が1cmくらい生えた頃には
娘:ミッキーマウス!ミッキーマウス!
耳がないネズミに似てると半笑いで指さしてきた
私が思うほど周りは全く気にはしていなかった。
でもこれは私個人が精神的に辛かったよってことで、そう思わない女性も沢山いる 丸坊主でも帽子も被らず堂々と病院にやってくる女性もいる
三角巾みたいなのをつけてる人もいた。明らかにサイズが小さくて後ろが丸見えだったけど、胸を張って笑顔で挨拶してる姿を見て自分もああなりたいけどなれないと思った。恥ずかしくて仕方なかった。だから抗がん剤を終えて1ヶ月が経った頃、また毛が生えてきた時は本当に嬉しかった。
カツラはがんセンターから車ですぐの医療用ウィッグを取り扱うお店(Eva & Co Wigs – Vancouver)で購入
値段は$500CAD(55000円ほど)くらい とても親切な対応でカーテンで仕切られた個室でいくつか試着し、比較的安価な人工毛にした。
その他にも人毛100%やミックス毛もあったけど、1000ドル越えだったのと会社の保険でカバーされるのが350ドルまでだったので諦めた。
帽子はワッチキャップと呼ばれるこちら↓を購入
友達が教えてくれたもので高いけど後ろもしっかり隠れてズレないし素材も柔らかくておすすめ。火野正平も愛用中(←いらん情報)
公式のサイトだともっと種類があるよ