最後にして最初のアイドル読了。なるほど、まさに俺が俺の文を読んでいるときのような感覚だった。ハチャメチャ、枠の外……ってなんだっけそう規格外を勘違いした作品。ガタガタの文章。情報のダンプの連続。描かれていない人。無駄に凄惨な描写。意味のない羅列。などなど。生きてない台詞。まだあるか? まだあるか? キモい思想。間違っている思想。別にお前に授けられんでも俺には意識あるわ、余計なお世話やわ感。とにかく俺のよくないところがギュッと詰まったような作品だった。俺が書こうとしていたものの先はあれ止まりだ。ただそれでも星雲賞は取ってるらしいが、星雲賞は過去作を見ても首をかしげたくなる物ばかりだ。ここは本屋大賞の小説を読んでいこう。あれは読み応えありの文学って感じだろう。直木賞だ芥川賞だは気にしたってしょうがない。

ところでこのガタガタ文、セリフの流させてくれない、えげつない下手くそな描写。というか地の文など、これでもデビューできるんだ……という感じ。ここには一つもない、そのリサーチや奥深さが。人というものに対する興味も感じられないし、この世へのリスペクトも感じられない。良いものを読んだ。これでは感銘を受けない。これに感化されるということはあり得ない。だから筆を取った次第である。これはその前に真夜中の子供たちを読んでいたのであるが、読んでいたのだが、読んでたのだが、とにかくはるかに文章に力があった。なぜだろう。どういうことなんだろう。どこが違ったんだろう。なぜだろう。文が短すぎるわけではないからか? いや情報の説明がないからだ。情報を説明するにしても物語、すなわちサリームの立場から語られているからだ? いや違う。おそらく人がそこにいるからだ歴史の説明、出来事の説明の中にも人の痛みや悲しみがしっかり添えて書かれているからだ。そうだ、歴史や事実、どんな科学の発見も人がなしたことであり、だからすべての情報は人を添えて表現することができるはずだ。ただ情報を提示されたら、あっそよく勉強してるねで終わる。何より退屈。読んでいられん。文章も下手だしっていう。あんまりいいところなかった、アイドル……。あ! それに貫通行動! それがなかった。だからめちゃくちゃ退屈だった。真夜中の子供たちにもあまりそれは感じられないが、ただ文章力がえげつないので読んでいられる。しかしアイドルのほうはと言えば……。『……』が多くなってしまう。うん、これもキモい。ただ俺もこんなキモい作品になってしまうのだろうか。キモさを解放、他人のキモさを受け入れる……いや、キモさはいいよ、受け入れるよ、ただ構成。構成力がつまらない。文体や勢いはまずいいでしょう。でも違うの、人が描けてないし、動機っていうか何がしたいのかが分からない。アイドルになりたいの意味がよく分からない。そこまで強くない動機ではないかと思える。そうか一応、アイドルになりたいがあったのか。でもそれを上手に描けてない。しあの戦いがアイドルと関係あるのかって話。沼の話において、赤羽は徹底的に沼から出ることを望ませなければ。それを強く望んでるってことを表現せねば。諦めさせるな。どこまでも諦めさせるな。絶対に諦めさせるな。それで良い作品になるに違いない。そこまで深くせず。つまりそう、その人の、主人公の欲求はかなり強く描かなければならないそうすれば貫通行動が見えてくるそれがよく分からんかったし、あとそれを叶えるための手段がなんでもありだとつまらない。なぜそれをやらないのか分からない、と読者に思われたおしまいだ。だから携帯が手元にあってはならない。携帯はどこにあるのか、リスクがなければ手に入れられないところにある。つまり沼の中だ。自重で落ちたとすれば最悪だが、もしかしたら落ち切ってはいないのかもしれない。手に取れたとしてもその間に自分は大きく沈んでしまうだろう。みたいな状況。どこにあるか分からない。見えない。くそ、どこだ携帯。くそ、となる。沼の中で携帯って生きてられるんだろうか。水没扱いになるんかな。そこは奇跡を信じるしかないのか。それで携帯を手に入れることはできる。手に入れたとて、まず警察。SOSだろ。救急車とか。そこだろ。知り合いっていうか。まずは警察じゃない。救急だわ。そこをどうやる。キャラクターでいけるか。電話してやる。電話してやるとか思うんかな。どうにもこうにもそうするしかないっていう状況にして、ついに覚悟を決める。いってやるって気になる。それを描き切れるだろうか。うまく? 不安になってきた。不安になる。なかなかどうして普通じゃない。ただ単純な話じゃない。過去が交錯する。127時間の沼バージョン。しかもそのまま沈んでいる。どうするって話。ぬるぬるの沼。ローションのような沼。底なしのぬるぬる沼。いややっぱりちょっと硬いんか? 底なし沼はぬるぬるだよな。ぬるぬるだったらしかし片足が乗っていれば抜けられるか。だから硬いのか。硬い沼。動かない。ずん! と足が入ってしまったってパターンの沼。そういう可能性。そういう沼。沼の水質について調べつつ、どういうことが実際に起こるか。起こり得るかを調べる。調べよう。次の段階はそれだ。それから主人公の身に起こる様々なこと。イバタは助けに来るかもしれないし、来ないかもしれない。とにかくこれは彼の物語。赤羽ね、彼というのは。一つ一つ丁寧に描けばなんとか。アイドルのやつ、書くの時間かかっただろうなあ。分かるよ。んでも駄文、駄作だということができるだろう。思想一択。しかも間違えてる。し目新しくもないっていう。酷だが。

こすむとへりとか