山内恵介(大学受験 数学教師)のブログ

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新しい学年(年度)が始まって,はや2週間ほど。
いかがお過ごしでしょうか。

そして,数学はいかがですか?


さて,新しい単元に入ったり,受験学年になって入試問題に触れると,
「なぜこうなるんだろう?」
「なぜこういう解き方をするんだろう?」
と疑問に思うことが出てくるかと思います。

その疑問は,数学を飛躍的に伸ばすものです。
本当に大切にして下さい。

その上で,1つだけ。
その疑問が解決すべきタイミングは,
もしかすると今すぐではないかもしれません。

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例えばピアノで「ドレミファソラシ (上の)ド」という音階を一気に弾くとき
指は5本しかありませんから,「ドレミファソ」で終了です。
よって,親指から小指までを「12345」で対応させ,
「ドレミ」までを「123」で弾いたあと,
「ファソラシ(ド)」を「12345」で弾きます。

こう書くと非常に簡単なのですが,
習い始めたばかり子は,「ドレミ」と弾くと,「ふぅ」と一呼吸おいて,
手首を右に「よいしょ」と持ってきたあとに,「ファソラシド」と弾きます。

それを目にしたピアノの先生は,おそらく
「音をつなげて弾きましょうね」
という言葉とともに,
時には親指をくぐらす,とか,手首のスライドの仕方とか,
いろんなこつを教えて,
なめらかにつなげる指導をするはずです。

飽くなき反復練習の末,
「自らの動きを意識せず自然に弾けるようになった」
という状態になったとき,
はじめて,「音符の羅列」が「フレーズ」に変身する第一歩を踏み出す準備ができたと言えます
逆に,いざフレーズとして表現しようとしたとき,
「何も考えずに」運指ができる状態でないと,お話にならないわけです。


では,ピアノの先生は,最初の段階で
なめらかにつなげる「理由」
を伝えているでしょうか。
「フレージングするために必要なんだよ」
おそらく,そう伝えている先生は,ほぼ皆無かと思います。

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数学の学習,特に高校数学の学習を進める上で,
すべての根本や原理,流れをその場で解決・掌握しようとすることは,
ときに,時間的にも精神的にも非常に辛い闘いを強いられることになります。

今まで何度も言っていますが,学習は数学だけではありません。

公式の証明や,ある解法を選択する理由も,
本来は知れば感動すら覚えてもらえるものも多数ありますが,
それをごり押しすると,時にただの「自己満足」ともなります。

それよりも,さきほどのように
「まずは体が勝手に動く」
という状態を作ることが先決な場合が高校数学では少なくない,と
私は考えております。

よって,私が授業を作るときは,
「理由」「本質」に触れるべき部分と,
「定跡」として教え,練習を促す部分に分けております。
もちろん,その分け方が絶対的に正しいというわけではなく,
講座のレベルに応じて,また過去に指導した生徒の反応などを加味して判断しております。

数学を知り尽くしている人から見れば,
「ここはもっとつっこむべきなのに・・・」と思われるかもしれません。

しかし,それはこちらからすべて与えるべきではなく,
自らが進んで行く上で,必要ならば「後から自分で実感」する時がくる,
そう,確信しております。


もしみなさんが,
受験サプリの講座や,学校の授業,問題集などの解答を見て,
あれ? と疑問に思ったら,
「ある程度の」時間をとってその理由を考えましょう。
それでもわからなければ,そこで打ち切って,
「反復練習」にシフトすることをお勧めします。
体が自然に動くまで。
あなたに要求されているのは,今はそういうことなのかもしれません。


あなたの数学の答案が「将来」に奏でる,美しい曲。
その一部が,知らず知らずの内に「今」練習されている。
そう思うと,なんだかわくわくしてきませんか?

1日やらないだけで,音を奏でる指は固くなります。
さぁ,数学の感覚が鈍らないように,今日も1問,1問。