こないだ匂わした、大掃除に取り掛かる。
今日は雑誌を読み返しながら、いけてるページを破りながら、雑誌を捨てていく。
時代は変わってく。

 10年くらい前からPenとか、Esquire、GQ、BRUTUS、bmr、blast、SOURCE(そういえばこないだやっと日本版が創刊されたらしい)とかいった雑誌を読み始めてた。GQ Japanは一時期廃刊になったな。他のは今あるかわからない。今思えば小説家の連載とか、むしろ文章なんて全く読んでなかったと気づく。ただ、写真はどれも覚えている。子供ながらに異国の風景や、セレブリティのファッション、クラシック・カーの鮮やかな写真を見ては満足していたんだと思う。まぎれもなく、これらは俺のインスピレーションを今でも掻き立てる。


 捨てることは、手に入れることだった。手放す決心がついたとき、俺はそれらの宝物を心の中で手に入れた。例え手放しても、永遠に失うことがなくなったんだ。出来るならば、持ち物は少ない方がいい。
 何か忘れかけていた。2、3年程前までは俺もガツガツしてた。それから俺は多分大切なものをいっぱい受け取ったんだろう。少し暖かくなっちまってたんだ。ただ、ある日後ろから闇が声をかけてきた。指をさして、「前を見ろ」と。ああ、思い出した。川が流れてる。あの川を越えたら、しばらく戻ってこれない。あの川を渡ったら、走らなければならない。

闇はまた俺に言う。
「あの椅子が見えないか?お前の椅子だったはずだ。」
昔、はっきり見えていた椅子が、すこしぼんやりと見えた。
「お前ならやれる。ただ、忘れたなら、ついて来ないならこの椅子はもう見せない。
 お前の代わりなんていくらでもいるんだ。お前より必死にこの椅子に座りたがってるやつらが。」
「待ってくれよ、俺はやるよ。みんな俺がやるってことを知ってるよ、だから、、、!」


川を渡る準備を始めた。
持ち物は少ない方がいい。

大丈夫、まだ学べてる。まだ変われてる。