北風と太陽が、どちらが強いかでいいあらそっていました。

議論ばかりしていてもきまらないので、
それでは力だめしをして、旅人の着物をぬがせたほうが勝ちときめよう、ということになりました。

北風が、はじめにやりました。
北風は思いきり強く、「ビューッ!」と、吹きつけました。
旅人はふるえあがって、着物をしっかり押さえました。
そこで北風は、いちだんと力を入れて、「ビュビューッ!」と、吹きつけました。
すると旅人は、「うーっ、さむい。これはたまらん。もう1まい着よう」
と、いままで着ていた着物の上に、もう1まいかさねて着てしまいました。

北風はがっかりして、「きみにまかせるよ」と、太陽にいいました。

太陽はまずはじめに、ポカポカとあたたかくてらしました。
そして、旅人がさっき1まいよけいに着た上着をぬぐのを見ると、こんどはもっと暑い、強い日ざしをおくりました。
ジリジリと照りつける暑さに、旅人はたまらなくなって、
着物をぜんぶぬぎすてると、近くの川へ水あびにいきました。



嗜好品の非日常性について

 嗜好品の嗜好性の半分は、その物自体の性質でなく、非日常性にある。タバコはうまいが、チェーンスモーキングになっては味も何もあったもんじゃない。灰になることが目的なら、ここぞって時に取っておくんだな。やめるつもりはまだないが、その価値を高めるために少し遠ざけてみようと思った。だから飽きるってのは恐いんだ。それよりも、社会人になったら酒をやめたい。元々そんなに好きじゃないし、ビールしか未だに飲まないが付き合いを増やそうと思うとどうしても量が増える。酒じゃなく人生に酔う生き方をしたい。


旅人の移動障壁について

 旅人のリスクは、「移動」に尽きる。見知らぬ場に常に行こうとすると、やはり時に高い参入障壁が立ちはだかる。ITの世界に飛び込む俺の目の前にはプログラミングの教科書がどっさり溜まってる。こういったリスクを負い続けるからこそ、俺たちの世界は広がる。円だけじゃなくてドルにユーロ。外貨稼ぐには外のしきたりみたいなもんも学ばなきゃならん。


北風のことは大好きだ。
でも俺は太陽になりたい。
「君にまかせるよ」
なぜなら北風は太陽から生まれる。