消費者の匿名性について。

 自分の意見や存在は相手の解釈に依存する。というのはいつもの話だけど、この場合の「相手」にも2種類あるかもしれない。すなわち、特定された対象と、不特定の対象=匿名の相手。
 例えばこのブログで特定の人間について俺の見解を述べたとする。それはすなわち彼の意見に対する俺のリアクションだ。そして、その人物がその文章を読んだら、俺にフィードバックができる。なぜならこのブログは匿名ではないから。俺はこのブログで、自分の責任において自由を体現しているから。彼についての見解が俺の誤解だったとしたら俺に修正を求めることができる。彼がその文章を気に入ってくれたら俺に感謝を伝えることができる。
 ただ、ビジネス(主にB2C?)となるとそうはいかない。なぜなら市場は匿名だから。どんなに秀逸な技術を以て商品をリリースしたとしても、その価値を判断するのは同じく相手、すなわち消費者。市場のみが「売上」というリアクションにおいて価値を決める。しかしそのリアクションに対して企業はフィードバックができない。「売れなかった」=「高い価値を消費者に提供できなかった」という事実に対して説明ができない。誰が買ってくれて、誰が買わなかったかを知ることが難しい。

 アップルのスティーブ・ジョブズは"artist ship"と言った。芸術家は出荷するもの。一度自分の手を離れて出荷されてしまった作品に対して何も言い訳できない、と。芸術の価値とは視聴者が判断する。製作者の意図を彼らに押し付けてはいけない。
 俺はビジネスもそうだと思う。結局のところ、どれだけカネが集まったかということが唯一の企業価値のメルクマールであるべき。そして企業やビジネスマンはこれからもずっと、「売れない」という淘汰圧に挑み続けるしかないのだろう。それはビジネスマンだからというのではなく、芸術家だから、というのでもなく、「表現者だから」だ。つまり、人間だから。


ファッションや「分かりやすい言葉」といった
継続性のないアウトプットで自由を気取ってる奴らのことが俺は大嫌いだ。
俺は生き方で自由を体現したいんだ。
一生をかけて表現したいんだ。