田舎の避暑地に一人で店をやっているバーテンダーに休暇で来ていた客が聞いた。


「こんな山奥に一人でいて寂しくない?」


バーテンダーは答えた。


「都会で寂しいよりマシでしょう。」



最近になって寂しいと感じることが少なくなった気がする。

前よりも決まった誰かといっしょにいる時間は減って

日々違う人たちといるようになったけど


彼らもまた同じように孤独を隠し持つ人間だということに気付き始め

交わることのないそれぞれの孤独は妙に頼り甲斐があって、安心できるってことだった。


これもまた寂しさなのかもしれないけど、

旅を続けるとき、街を離れる時、寂しさはつきものだ。


彼の言ったことはわかるし、人ごみは嫌いだし

まして自分だけ一人なのはたまらなく寂しいけど

一人ひとりが独りの都会ってやつも嫌いじゃないです。