メスカルという酒がある。


メキシコのアガベという植物を使った蒸留酒だ。

アガベにも約200種あり、その中でも指定された5品種から作られたものだけが

メスカルを名乗ることが出来る。

それ以外のものから作られたものはライシーラなどと呼ばれ、ほぼ密造酒である。

更に、メスカルのなかでもアガベ・アスール・テキラーナという品種を使い、

テキーラ村で生産された最高品質のものだけをテキーラと呼ぶ。

ちなみに、蒸留後12ヶ月以上樽熟成させたものをアネホと呼び、これはもう最高級品。



肩書きや、ブランドを嫌う人たちがいる。

名前なんてどうでもいいじゃないかと。

確かにバラという名前はなくなっても美しさはそのままだ。


でも、そういうものは生きてきた場所の証明だ。

これまで旅してきた地を表す。


テキーラが最高品質なのは理由がある。

最高品質しかテキーラにしないからだ。

テキーラを守り続ける人たちがいるからだ。


一本のクエルボはテキーラと呼ばれるにふさわしい人生を歩み

ボトルが空になるまでテキーラであり続ける。


人は人と生きる。

一人で生きていくならば名前さえいらない。

名を授かったら、死ぬまでその名に恥じず生きてたいものです。