秋篠寺(あきしのでら)は、奈良時代末期の宝亀七年(776年)に光仁天皇の勅願により、平城宮大極殿の西北の高台に薬師如来を本尊として、善珠僧正が開基したと伝えられている。当寺の造営は、桓武天皇の勅旨に引継がれて、平安遷都とほぼ同時期に伽藍が完成したとされている。その後、承和元年(834年)に常暁律師により大元帥明王(たいげんみょうおう)の影現をもって真言密教道場として隆盛した。しかし、保延元年(1135年)の兵火によって金堂、東西両塔などの主要伽藍を焼失し、講堂など数棟を残すのみとなった。

なお、この地は当時、秋篠朝臣の所領であったと思われ、当地にすでに秋篠氏の氏寺として営まれた寺院があり、後に光仁天皇が善珠僧正を招じて勅願寺に変えられたとの説もある。

当寺の宗派は、当初の法相宗より平安時代以後に真言宗に転じ、明治初年に浄土宗に属したが、昭和二十四年(1949年)以降は単立となった。

 

   宗 派 : 単立

   御本尊 : 薬師如来

   所在地 : 奈良市秋篠町757

   電 話 : 0742-45-4600

 

東門

 

香水閣

常暁律師が、香水井という閼伽井の水面に示現した大元帥明王の忿怒の形影を観、その後、入唐して大元帥御修法を感得したという伝説がある。

 

十三社

 

 

金堂跡

 

本堂(国宝)

創建の当初は講堂として建立されたが、金堂の焼失以後、鎌倉時代に大修理を受け、以来、本堂と呼ばれてきた。

御本尊の薬師如来坐像、日光・月光菩薩立像、愛染明王坐像、帝釈天立像、十二神将、伎芸天などを安置している。

 

本堂(元講堂)

 

鐘楼

 

 

役行者石像

 

十三重石塔

 

霊堂

 

大元堂(左)および開山堂

大元堂には、秘仏の大元帥明王像が安置されており、年に一度、毎年6月6日に御開帳される。

 

本堂

 

金堂跡

 

東塔跡礎石

 

西塔跡

 

南門