紀伊国屋書店梅田本店ビッグマン側の出口前に、靴下屋「タビオ」の紳士向けショップがあり、その中に「仕事に生かす孫子(越智直行著)」が飾ってある。越智直行氏はタビオを一代で自社靴下を屈指の国内ブランドに持ち上げた経営者。
これを見た時さすが!(理念が行き届いている)、と思った。
越智氏が愛媛の田舎の中学を出て大阪に丁稚奉公に入った時に、卒業する中学の先生から「中卒では苦労する。都会の者に負けないよう中国古典くらいは読め」と言われて、大阪の古本屋で手にしたのが孫子の「兵法」だ。
彼は最初「孫子」を「まごこ」と読んだ。全く読めず意味がわからなくとも「読書百遍義自ずから通ず」を実践し、隠れて読み続け、ついには暗唱するに至る。「タビオ」の経営と、製品へのこだわり、そして会長のポリシーに「兵法」がよく根付いている。
ちなみに越智直正会長は同郷(愛媛県周桑郡周布村)出身のため、殊更に親近感と尊敬の気持ちが湧く。
気取らず、飾らず、話しかける文体は、ひたすら「兵法」を愛し繰り返し読んだ「実践者」の含蓄がある。通り一遍の知識人の解説書ではない、経験と実践に満ちたノンフィクションとして私たちを勇気付ける。
尚、越智氏著、「靴下バカ一代 奇天烈経営者の人生訓」と併読されるとよい。
さらに「タビオの靴下(これがすこぶるはきやすい)」も合わせて買われると、なお越智氏の世界に入っていけると思う。
