「蚊に」


「蚊に刺されてしまった」という君は


なんて愛おしいんだろう


幾つになっても報告はそのまま


ぷくりとふくれたあとを見せては


かわいいなぁと思ってしまう


なんでもないことなのに


なんでもないことが愛おしいとは


こんなことなんだよなぁ




「コーヒーショップ」


すっかり行きつけとなったコーヒーショップには


それぞれドラマを持った人達がやってくる


一生会わない人もいるし


会うかもしれない人もいる


杖をついた片麻痺の人は


毎日お昼の3時にやってくるから


会えるかもしれない人


私たちはどんな風に見えるかな


どんな配役なんだろう?


コーヒーショップは絵本のよう


どんな場面もコーヒーショップが包み込む


一息ついて出かけよう


どんな時にも優しい場所


通りすがりの人とは違う


このお店を選んだ人達が


あの日そのひとときに集まる


物語のような奇跡の時間


(歌詞の感じで作ったので2番は後ほどに)





「ロヴィニ」


あの頃私たちは


海に向かって黄昏れていた


たくさんの流れ星をみて


朝には食器の音がいきいきとしていた


揚げパン配りの記憶は一生忘れない


遥か彼方のモバイルホーム


今、アドリア海に向かって叫ぼう


「おーい!私たちは元気だぞー!」


長く続く永遠の憧れは


こうしてまたアップデートされていく





「透明になりたい」


私は透明になりたい


生きている透明になりたい


透き通っていたい


きらめいていたい


切実に願い


透明でいいのか?と


現実に引き戻される



「皿」


選ばれたくて


選ばれて欲しくなくて


皿は待ち続けている


「おーい そんな皿にするのかい?」


ってこともある


だけど選ばれたい皿はやる気満々


「どんな料理ももってこいだ」


海のようにキラキラ輝くスープをのせてみたい


月のような金色のリゾットがいい


だけど 納豆は苦手


だとかね!


サイズが合わない皿もいたりして


「ふ〜ん」だって


いつもヨーグルトを入れている皿は五つから選ぶ


さあ 今日はどれを選ぼうか!


おまじないの瞬間が朝一番に待ち受けるわけだ


朝一番は重要だぞ


ヨーグルトの皿は覚悟を決めて目をつぶって


そのときを待っている




「おじいちゃんエアコン」


エアコンは役目を終えました


まだ使えるけど役目を果たしました


「ありがとう」


と心の中で言いました


なぜか「おじいちゃん」な感じがしました


「おじいちゃんエアコン」の名前をつけて 思い出に残ります


今まで名前をつけてあげられなくてごめんなさい




「右手」


うまくいかない右手はずっと続くのだろうか


言葉に託し 見えないチカラに頼る


だんだん不自由になっていく右手は


ギャグでしか片付けられない


お笑いの人も苦心していそうだ




「ひかり」


みぎて


ひだりて


みぎあし


ひだりあし


それからこのしんぞうも


なに不自由なく動いて


心が自由に羽ばたくこの世界を


見られたら 最高だ


今 これが私のひかり





「老眼」


夫婦はメガネを外す機会が少々あるようになった


若い頃は会社のひとが


「メガネを外すのってなんだかカッコいい」


と思っていたんだけどな


老眼がきてしまったか…


夫婦は同級生だ


老眼の進み具合も同じくらいと見ている


お互いメガネを外すと「クスッ」と笑うようになった


時間は無常だ


お互い年をとりましたな