「和歌とは何か」(渡部泰明、著/岩波新書)を読了しました。
この本は、私の理解では、和歌における技巧を論じて、詠歌がどのように実践されてきたかを論じた本です。
この本の目次を記すことで、内容紹介の一助にしたいと思います。
序章――和歌は演技している
Ⅰ和歌のレトリック
第一章 枕詞――違和感を生み出す声
第二章 序詞――共同の記憶を作り出す
第三章 掛詞――偶然の出会いが必然に変わる
第四章 縁語――宿命的な関係を表す言葉
第五章 本歌取り――古歌を再生する
和歌的レトリックとは何か――まとめの講義
Ⅱ行為としての和歌
第一章 贈答歌――人間関係をつむぐ
第二章 歌合――捧げられるアンサンブル
第三章 屛風歌・障子歌――絵と和歌の協和
第四章 柿本人麻呂影供――歌神降臨
第五章 古今伝授――古典を生き直す
終章――和歌を生きるということ
あとがき
以上のようになります。
私事で恐縮ですが、私は、歌を詠むことがありますので、和歌のレトリックに興味があり、この本を読んでみることにしました。枕詞、序詞、掛詞、縁語、本歌取りを、組み合わせて、歌を詠んでみたいと思っています。枕詞と本歌取りは、取り入れてみたことがあるのですが、序詞や掛詞、縁語は、使ったことがありません。難しいんです。これができたら、もっと奥行きのある歌ができるのではないかと、夢想しています。そもそも、そこまで、歌を作っていないので、こういう技巧を使う水準に、私の歌はないのですが、使ってみたいという、志だけはあります。そういえば、かなり長期にわたって、歌を詠んでいません。歌を読むことはあっても、詠むとなると、なかなかハードルが高いです。久しぶりに、詠んでみることにしましょう。
著者によると、和歌は、「演技」だそうです。そのため、いろいろと、場面を設定することができるし、想像の世界を詠むことで、逆に、現実味が出るのかもしれないと、私は思いました。
また、著者によると、「和歌的レトリックとは、儀礼的な空間を呼び起こす表現である。」だそうです。どういうことだろうと思われた方は、本書をお読みください。