ワシは名探偵のギデオン・フェル博士である。
ミステリー小説の紹介をしてしんぜよう。

今回ご紹介するのは
江戸川乱歩作の
「悪魔の紋章」についてじゃ。
悪魔の紋章とはズバリ
指紋のことでしてな。
この小説には
珍しくも奇怪な
3重渦状紋という
3重に渦巻きが現れる指紋が出て来るのじゃ。

残念ながらしばらくは
名探偵明智小五郎は出て来なくて
代わりに法医学者の宗像(むなかた)博士が出てきますぞ。
簡単にあらすじを話してしんぜよう。
製薬会社重役川手庄太郎のもとに、殺害予告が届けられるのじゃ。
娘二人をまずは惨殺した後に川手氏自身を惨殺すると書かれている強い怨念のこもった手紙ですぞ。
恨みを買った覚えがない、川手氏じゃったが恐怖をかんじての、名探偵明智小五郎に依頼しようとしたんじゃ。
あいにく明智小五郎は朝鮮半島に出張していて居なかったために、明智小五郎と並び高い評価を得ている法医学博士宗像隆一郎氏に依頼をしたんじゃ。
しかし、まずは宗像博士の助手の木島青年が毒殺されての。
木島青年が手に入れた靴べらには珍しい3重渦巻きの指紋が残っていたんじゃ。
その後川手氏の娘二人も相次いで殺されてしまうんじゃよ。
残された川手氏は敵を欺くために宗像博士の手引きで山梨県の辺鄙な屋敷に行くのじゃが、やはり狡猾な犯人によって生き埋めにされてしまうんじゃ。
ズバリ、ネタバレしてしまいますぞ。
真犯人は宗像博士なんじゃ。
宗像博士は本名を
山本始(やまもと はじめ)といっての。幼い時に両親を川手氏の父親に惨殺されておるんじゃ。
妹と二人して川手氏に復讐するためにこの事件を起こしたのじゃな。
同じく江戸川乱歩作の
「蜘蛛男」を読んだ御仁ならば
この小説の真犯人は簡単にわかると思うんじゃ。