クジラになった真鯉 創作童話 | 星導夜

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何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います

クジラになった真鯉

みらあじゅの創作童話です(笑)



私が子どもの頃のおはなしです。


近所に川が流れていて


大きな黒い真鯉たちがゆうゆうと泳いでいました。



真鯉さん みらあじゅ画

私はその真鯉を
クジラ🐳と読んでいました。


鯉というよりは、むしろクジラに見えたからでした。

それから何年も経ちました。

大人になった私が最近川の中を覗き込むと

あの時の真鯉がいなくなっていました。

鯉の寿命がどのくらいか私にはわかりませんが

もしかしたらもう死んでしまったのかなと

寂しい気持ちでいました。

その晩のことです。

窓の外から私を呼ぶ声がしました。

「こんな夜更けに誰だろう」

不思議に思って窓を開けると

そこには

そこには


ピンクのクジラ みらあじゅ画

ピンクのクジラ🐳がニコニコ笑っていました。




「みらあじゅさんお久しぶりです。僕はあの時の真鯉ですよ」

真鯉は、滝昇りして龍になるところを

代わりにクジラ🐳になり

今では広い海🌊をゆったり泳いでいるそうです。

「ピンク色のクジラ🐳の方が、幸せ届けられますもの」

そういった元真鯉、今はクジラ🐳の顔は晴れやかでしたね。

「さよなら」ではなくて

「いつかまたお会いしましょう」と言っていましたから

ひょっとしたらいつかまた夜に

クジラ🐳は訪ねて来るのでしょうね。