ようこそ当恐怖博物館においでくださいました。
私の創作した恐怖話がたくさんこの博物館には収められておりますよ。
今日は
真っ黒な女
ですよ。

私が5年ほど前から通うようになった美容室のオーナーの内海さんから聞いた話です。
内海さんは本当は怖い話は苦手なのですが、自分自身が霊感体質のためか過去に何度も不思議な体験をしているのです。
また美容室のオーナーという職業上、お客様からよく怖い話を聞くことがありますから、怖いながらも心霊話は豊富に知っています。
そんな内海さんがある時に、夜中に家族全員である峠を通って車で帰宅することになりました。
その峠は過去に何度か事故現場になったり殺人事件があったりして心霊スポットと噂されていました。
嫌なところを通るとは思っていたのですが、どうしてもその峠を通らないと帰れなかったために、内海さんはなるべく外を見ないようにして運転していました。
しかしある場所には差し掛かったときに強烈な寒気と嫌な感じがしたそうです。
それはポツンと立つ電話ボックスでした。
内海さんは見るまいと思っていたのですが、どうしても視線が釘付けになってしまいました。
そこには電話ボックスにもたれかかる形で真っ黒な女が立っていたのですが、まるで女の形をした暗闇があるかのようだったそうです。
家にようやく帰り着き家族に尋ねたところ、内海さん以外には誰もあの女を見ていなかったそうです。