黒い光 みらあじゅの恐怖博物館15 | 星導夜

星導夜

何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います

わたしは「恐怖博物館」の学芸員(キュレーター)をつとめ るみらあじゅです。 

ようこそ当恐怖博物館においでくださいました。  



私の創作した恐怖話がたくさんこの博物館には収められておりますよ。

本日は、

「黒い光」ですよ。



僕がまだ大学生の時の話です。
ある日、家の近くのダムで水死体があがったというニュースが報道されました。

僕たちは不謹慎とは知りつつも、仲良しのクラスメイト3人で次の日にそのダムに肝試しに向かったのでした。

現場ではガードレール下に花束が供えてありました。

僕と春木くんは、人が亡くなった場所に興味本位で訪れた事を申し訳なく思いました。

しかし、今回の肝試しを提案した夏野くんは、花束を平気な顔をして撮影しているではありませんか。
「オイ、いくら何でも不謹慎だぞ」

僕たち2人は注意したのですが、夏野くんは平気で撮影を続けました。
さらに僕にカメラを渡すと、花束の前でピースサインをしたり、散々ふざけたポーズでの撮影を頼みました。

帰り道、僕たちは食事のためにファミレスに立ち寄りました。

先程撮影した写真を夏野くんは見ていましたが、その表情がどんどん曇って来ると、黙ってデジカメを差し出してきました。

僕と春木くんの2人が覗いて見ると

最初はダムに着いたばかりの写真が写っていて

数枚目の写真から花束が写っていました。

ここで僕たちは変な事に気が付きました。

夏野くんが花束の前でピース✌サインをしている写真。
その夏野くんを覆うようにして黒い光が写っているではありませんか。

ピース✌サインの写真だけではなく、夏野くんの写っているものには全て黒い光が写っています。

僕たちは夏野くんに、現場で手を合わせて心から詫びて来いと説得したのですが、夏野くんは自分は悪く無いの一点張りで、結局その日は解散してしまいました。

それから10日ほど経ったでしょうか。

僕のところに夏野くんのお母さんから電話☎がありました。

内容は、いつものように大学に行くために家を出たきり帰ってこないと言う事でした。

夏野くんはサボり魔でしたから、今までによくズル休みしていましたが、さすがに長いので気になっていました。

その後捜索願が出されましたが、今夏野くんがどこで何をしているのか誰も知らないのです。