白装束の人 みらあじゅの恐怖博物館14 | 星導夜

星導夜

何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います

わたしは「恐怖博物館」の学芸員(キュレーター)をつとめるみらあじゅです。  



ようこそ当恐怖博物館においでくださいました。 
 

私の創作した恐怖話がたくさんこの博物館には収められておりますよ。

今日は

「白装束の人」です。


私がある朝早くに急用ができてしまった時のお話です。

「駅まで送ってやるよ」と父が車を出してくれました。
時間は朝の6時くらいでした。

駅前のT字路に差し掛かった時に

ちょうど信号が変わって赤になってしまいました。
車を停車させて父は左右を確認しています。

この時に私はおかしなものを見たのでした。

T字路の真ん中に立って微動だにしない人がいたのです。


おかしいと思ったのはその人の服装と立っている様子でした。

まるで死人が着るような白い経帷子を着ていて、両手をだらんと前に下げて、あたかも「うらめしや」の幽霊のようなポーズをしています。

私は見ているうちに、なんだか背筋がゾクゾクして来ました。

その人は全く動かないので、人形かとも思いましたが、昨日までは駅前にこんな幽霊のような人形はなかった筈です。

父はとみると、そんなものは見えていないかのようでしたが、私が用事が終わって家に戻ると父に
「あの気味悪い幽霊人形みたいなもの、一体なんだったんだろうね」
と言われたので、やはり父にも見えていたのでした。

父はあの後一旦帰って、今度は姉を駅まで送ったそうですが、そのときにはあの幽霊みたいな人はもう居なかったそうです。

私はもう1つ不思議に思いました。

朝の6時頃の駅前ですよ。

普通ならば人や車が行き交う時間帯なのに。

あの幽霊人形みたいな人が立っていたときには、車はおろか人っ子1人


通るのを見かけていないのですよ。