4Fのトイレに入ると みらあじゅの恐怖博物館11 | 星導夜

星導夜

何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います

わたしは「恐怖博物館」の学芸員(キュレーター)をつとめるみらあじゅです。 

ようこそ当恐怖博物館においでくださいました。  



私の創作した恐怖話がたくさんこの博物館には収められておりますよ。

本日は、


「4Fのトイレに入ると」です。
僕が高校生の時の話になります。

その当時僕は東京近郊のある市に住んでいて、学校の帰りには、いつも駅前のショッピングセンターにたむろしていました。

その日も数人の仲間と、ショッピングセンターの3Fと4Fを結んでいる階段の踊り場に座り込み、だべっていました。


明君が突然立ち上がり

「ちょっとトイレに行くよ」と言い
4Fの男子トイレに行きました。

残りの仲間はそれを大して気にも留めていなかったのですが1時間くらい経っても、明君は戻ってきません。

気になった隆君が様子を見に行きました。

しばらくして不思議そうな顔の隆君が戻って来ると

「変だよ、トイレにこんなものが落ちてた」と言って、ガラケーをみんなに見せたではありませんか。

そのころはまたスマホが普及する前で、ガラケーの時代だったのです。

「えっ、これは明君のものじゃないか。どこにあったんだよ?

「それが、トイレの中だったんだ」

隆君は4Fの男子用トイレの個室に入ったそうです。

ドアを開けると、床にガラケーが落ちていたので拾い上げ、

「なんだよ、これは。明のものだ」

そう口にしたとたん

隆君の目の前には

真っ暗な闇が広がり、クラクラと目眩がした隆君は、気がついたときにはトイレの個室に倒れていて、慌ててトイレから出たそうです。

とうとう明君は姿を表すことがなくて、家族より警察には捜索願が出されました。

高校を卒業して数年間経ちましたが

居間でも明君は行方不明のままです。