ようこそ当恐怖博物館においでくださいました。
私の創作した恐怖話がたくさん
この博物館には収められておりますよ。
私は大学生のときに、演劇サークルに入っていました。
キャンパス内には、古い民家を大学が買い取った稽古場がありました。
なんとも気味の悪い事がその稽古場で起きたのでした。
部長の小松さんが
「オレ、今朝ここで気味の悪いものを見てしまったんだよ」
と、青ざめた顔でいうものですから私は
「部長、気味の悪いものって、一体何を見たのですか?」と尋ねてみました。
「今朝、オレがここの鍵を開けたんだけど、玄関の戸を開けた途端ギョッとしたよ。だってキューピー人形が柱に首を吊った状態でぶら下がっていたんだよ」
「えっ、部長、その人形どこですか?」
話を聞いていた他の部員たちも動揺を隠せない様子でした。
「怖いから、柱からおろしてそこの押入れに放り込んでおいたよ。」
「じゃ部長、まだあるんですね。」
私は決心して押入れをガラリと開けてみました。
途端に
「わあっ」「きゃあ」とあがる悲鳴。
キューピー人形から転がっていましたが、何と両手両足がなくて、首がまるでエクソシストの少女のように180度ネジ曲がり、しかも片目は焼けただれていたのです!!
「誰がこんな事を。」
部員たちは皆呆然として立ち尽くすしかありませんでした。
鍵は部長が管理していますので、他の誰かが入って人形を柱に首つりのようにぶら下げたり、このように酷たらしく破壊するような真似はあり得なかったからです。
すると集まって来た野次馬の学生のうち、他のサークルの女の子が
「あ、私あの人形前にみた事ありましたよ。でもその時は綺麗でしたよ。」
演劇サークルの何人かも
「そういえば綺麗な状態の人形を前に見た事が有る」と言い出しました。
しかし部長も私も、押入れはよく使っているにもかかわらず、1度も見た覚えはありませんでした。
部長がやがて決心して
「よし、気味が悪いから神社に持っていってお祓いしてもらおう」と再び押入れを開けました。
すると、どうした事でしょうか?
人形の姿は忽然と消えていたのでした。
この話を書くにあたってヒントになった映画があります。
ダリオ・アルジェント監督のサイコサスペンス映画「サスペリア2」、赤い深淵でした。
やはり首を吊られたキューピー人形を真犯人が被害者の家の中にぶら下げるシーンがあります。
そこからヒントを得て、この話を書き上げました。