
ようこそ当恐怖博物館においでくださいました。
私の創作した恐怖話がたくさん
この博物館には収められておりますよ。
今日のお話は
「赤いコートの女性」です。
僕が学生の頃に、ある海岸沿いのキャンプ場に行った時の話です。
その時には男性4人女性4人で行きました。
キャンプ場の門を潜るとすぐに管理室がありましたので、手続きを済ませるとすぐに中に入って行きました。
時間としては、まだジリジリと太陽が照りつける夏の午後のことでした。
テント張りをしていた時に
僕はふと気になるものを見てしまいました。
テントを張った場所から100メートルほど離れた場所に雑木林があるのですが、そこに1人の女性がポツリと佇んでいるのです。
気がついた時から同じところに、微動だにせずずっと立っているのです。
しかもこの暑い夏の日にもかかわらず、赤いロングコートを着ているではありませんか。
僕の友人たちも彼女に気が付きました。
そして
「マネキン」
「いや、人間みたい」
「この暑いのにロングコート?」
と口々に不思議がりました。
しかしあまり気にするのもなんだと思い、夏の海を満喫しました。そのためにキャンプ場まで足を運んだのですからね。
やがて僕たちは買出し班とバーベキュー準備班の二手に分かれました。
僕はバーベキュー準備班として残っていたのですが、やはり雑木林にあの女性が相変わらず居て、動いた形跡も無いことが気になりましたね。
正体をも見極めるために僕たち準備班は、思い切って女性に近づきました。
彼女はマネキンでも案山子でもなくて、人間に間違いないようでした。
しかし1点を見据えたまま全然動かないのです。
瞬間、女性の姿が忽然と消えました!
怖くなって慌ててキャンプ場に戻った僕たちでしたが、気にはなるものの、バーベキューを楽しんでやがて眠りに就きました。
しかし真夜中、疲れて眠っていた僕たちは、女性陣のものすごい悲鳴で目を覚ますことになるのです。
「いたの、いたのよ。あの女の人」
トイレに行きたくなって懐中電灯片手にテントを出た1人の女性。
行く先を照らそうと懐中電灯の光を前方に当てると
な、な、なんと
目の前に
あのコートの女性が居たと言うのです。
しかも鮮血がべったりと付着した白いコートだったということでした。
怖くなった僕たちは、1つのテントに身を寄せ合って
朝までまんじりともしないで過ごしました。
そして夜明けとともにキャンプ場から逃げ帰ったのです。
それから、あのキャンプ場には
僕たちは2度と足を踏み入れていません。