赤いコートの女性 みらあじゅの恐怖博物館② | 星導夜

星導夜

何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います






わたしは「恐怖博物館」の学芸員(キュレーター)をつとめるみらあじゅです。

ようこそ当恐怖博物館においでくださいました。  

私の創作した恐怖話がたくさん

この博物館には収められておりますよ。

今日のお話は

「赤いコートの女性」です。



僕が学生の頃に、ある海岸沿いのキャンプ場に行った時の話です。

その時には男性4人女性4人で行きました。

キャンプ場の門を潜るとすぐに管理室がありましたので、手続きを済ませるとすぐに中に入って行きました。

時間としては、まだジリジリと太陽が照りつける夏の午後のことでした。

テント張りをしていた時に

僕はふと気になるものを見てしまいました。

テントを張った場所から100メートルほど離れた場所に雑木林があるのですが、そこに1人の女性がポツリと佇んでいるのです。

気がついた時から同じところに、微動だにせずずっと立っているのです。

しかもこの暑い夏の日にもかかわらず、赤いロングコートを着ているではありませんか。


僕の友人たちも彼女に気が付きました。

そして

「マネキン」

「いや、人間みたい」

「この暑いのにロングコート?」

と口々に不思議がりました。

しかしあまり気にするのもなんだと思い、夏の海を満喫しました。そのためにキャンプ場まで足を運んだのですからね。

やがて僕たちは買出し班とバーベキュー準備班の二手に分かれました。

僕はバーベキュー準備班として残っていたのですが、やはり雑木林にあの女性が相変わらず居て、動いた形跡も無いことが気になりましたね。

正体をも見極めるために僕たち準備班は、思い切って女性に近づきました。

彼女はマネキンでも案山子でもなくて、人間に間違いないようでした。

しかし1点を見据えたまま全然動かないのです。

瞬間、女性の姿が忽然と消えました!

怖くなって慌ててキャンプ場に戻った僕たちでしたが、気にはなるものの、バーベキューを楽しんでやがて眠りに就きました。

しかし真夜中、疲れて眠っていた僕たちは、女性陣のものすごい悲鳴で目を覚ますことになるのです。

「いたの、いたのよ。あの女の人」

トイレに行きたくなって懐中電灯片手にテントを出た1人の女性。

行く先を照らそうと懐中電灯の光を前方に当てると

な、な、なんと

目の前に

あのコートの女性が居たと言うのです。

しかも鮮血がべったりと付着した白いコートだったということでした。

怖くなった僕たちは、1つのテントに身を寄せ合って

朝までまんじりともしないで過ごしました。

そして夜明けとともにキャンプ場から逃げ帰ったのです。

それから、あのキャンプ場には

僕たちは2度と足を踏み入れていません。