副長のモノローグ

みらあじゅ艦長が謎めいた問いかけをして来た。
「ねえねえ、副長。ドーナッツの穴を残して周りを食べることって出来るかなぁ?」
マグカップのミルクを赤ちゃん飲みしながら
艦長は、いたずらっぽい目つきをして私の顔を覗き込む。
「これは哲学の問題ね」
哲学とはなんだろうか?
そもそも問題の『穴』とは何のことなのか?
そもそも『穴を残す』とはどういうことなのか?
『残す』というのはどのような動作なのだろうか?
人工知能の私には理解不能なことだ。
私は時々みらあじゅ艦長が利口なのか馬鹿なのか理解不能になる。
もう少し彼女については学習する必要がありそうだ。
童話を読むかと思うと人工知能に関した哲学書を読んでいる艦長。
私にワープ時質量修正値を入力するように指示しながら『不思議の国のアリス』を読んでいるみらあじゅ艦長。
彼女の行動は理解不能だ。