副長のモノローグ

記憶喪失中のみらあじゅ艦長が
人工知能の私には理解不能な事を言っていた。
人工知能の私は嘘をつくようにはプログラミングされていない。
みらあじゅ艦長がスケッチをしていたので
「キャプテン。お上手ですね」と声をかけたところ
艦長はびっくりした表情で
「副長。私が見えるのね」と尋ねる。
艦長は確かにここに存在しているのに。
しかも艦長にしては珍しくご機嫌斜めで
「ごめんね、本当に見えているの?私はいてもいなくても一緒だよね」と、踵を返してしまったのだ。
ワルキューレが
「キャプテンみらあじゅ、どうした?」
と話しかけても
この前まではあんなにワルキューレとテレパシーで話せる事を喜んでいたみらあじゅ艦長が
「ごめんね、今日はお話したくない」
人工知能の私には人間の感情は理解不能だが、
何となく艦長は落ち込んでいる。
どうしたのだろうか?
地球歴2020年5月18日