これは湯治場の画像です。ネットからお借りしました。

『なあ、湯治場に連れて行ってやるべ』
工場で働く留吉少年達を家族のように可愛がってくれたのが、寮長だった。
春の彼岸の連休時。
工場で働く留吉少年達は、喜び勇んで
恐山にある薬師の湯と言う湯治場にやってきた。
彼岸の中日の真夜中。
身体を暖めようと、留吉が湯船に浸かっていると
音もなく湯殿への木の扉が開いた。
普段、この湯殿への木の扉は建付けが悪いらしくキイッと音がするのにだ。
しかも無言の黒い人影がゆらゆらと
何体も入って来る。
『寮長さんけ?
与作に田吾作か?』
留吉が喉から心臓が飛び出しそうな勢いで誰何するも
黒い影は終始無言で湯船にワラワラと蝟集して来る。
ふと湯気の向こうに黒い影の本当の姿を見てしまった留吉は、ほうほうのていで湯船を飛びだした。
無理もない。
頭に三角巾をつけた亡者達だったのだ。
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