ラルゴ館奇譚Ⅶ 冬の日の間違い電話 | 星導夜

星導夜

何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います



新年を迎えてすぐのある明け方。

夢の中で電話のベルの音がする。

「誰だろう、こんなに早くに」

ブツブツ言いながら黒電話に手を延ばす。

「ザザザ☔今日のお天気は」

ノイズと共に天気予報が。

混線してるのかな、そう思った瞬間
今度ははっきりと
「ご注文の品物は本日発送いたしました。」
一方的に抑揚のない声がそう言って切れてしまった。

最近何も電話☎で注文なんてしていない。

せっかくの休日に間違い電話なんて。
ブツブツ言いながらまたベッドに戻り布団にくるまった私はいつしか寝入っていた。

どれくらい眠っただろう。

部屋の中があまりにも寒いので目が開いた。

なぜか。

確かに閉めておいたはずの窓が開いていた。

駆け寄って閉めようとしたらまた電話のベル。

「お届けしました。」

その午後から、ラルゴ館を含めた宵闇横丁一帯は雪⛄に覆われた。

何も注文したものはないというのに。

誰か館の住人が❄雪を注文したのだろうか。


前にもこの電話に、墓地からかかってきたことがあったっけ。

お次はどこからかかって来るのやら。

☃️☃️☃️☃️☃️☃️☃️☃️☃️☃️☃️☃️☃️

作者の怠慢で、久しぶりのラルゴ館シリーズです。
寒がりの作者は、気持ちが常夏の国に飛んでいますので。