
一等航海士の秘密のモノローグ
太陽系第3惑星、すなわちみらあじゅ艦長の生まれ故郷である地球での楽しい休暇もあとわずかだ。
艦長には内緒で、私は夢幻横丁の住人たちを訪ねた。
夢幻横丁の住人たちは、実は正体は宇宙人だ。私の母星の。
あれはみらあじゅ艦長がお生まれになる前だった。
やはり地球付近のビーコンが故障していた為に、私の母星の宇宙船エンデュランス号は大気圏突入に失敗して墜落してしまった。地球では隕石落下事故で片付いてしまったが。
夢幻横丁の住人はエンデュランス号の墜落事故で死んだ筈だった。
しかしエンデュランス号の乗組員達は、自分たちの失敗で地球人が苦しみながら死んでゆくことに責任を感じて、皆地球人に乗り移り、生きながらえさせたのだ。今に地球の文明や医療が発展して、彼らが、われわれの力なしでも蘇生出来る日が来ることを信じて。
私の父親はエンデュランス号の一等航海士だった。
地球に来た時には必ず私は父親に会いにゆく。
父も私も、いつかはみらあじゅ艦長には伝えたいと思う。
宇宙には、好戦的な宇宙人ばかりではなくって、心優しい宇宙人もいるんです。
そしてみらあじゅ艦長のお父様は、宇宙の平和の為に戦う誇り高き天才科学者なのですよ。
私の父親は、ビーコンの故障とはいえ、エンデュランス号の墜落事故には責任を感じて地球に残った。
私は父親と同じ一等航海士になってワルキューレに乗り込んだ。
腕を信じてくれるみらあじゅ艦長のためにも、航海の安全は絶対に守る。
それにしても、地球付近のビーコン故障、なんとかならないものだろうか。