
所詮「ダメ」だと言い切ることはたった一つの観点でしかない。
絶対的な「負」である事はありえない。
どんな失敗作にでも面白がっている奴は一人はいるだろう。
どんなマイナーな俳優にだって一人ぽっちのファンはいるだろう。
そういう「負」の部分にのみ、僕はリアリティを感じる。
僕が強く主張したい事は、そうした姿勢をフィクションとして捕らえる視線が人生の中においては必要だと言う事だ。
ハリウッドをはじめ、全ての映画が緻密なマーケティング・リサーチによって「何が求められているか」はっきりしてしまっている。
それ以外のものは贅肉とかわりない。
期待通りの映像などCG万能の時代だしいくらでも作れる。
しかし、そこから抜け落ちてしまったものがある。
それは芸術性とイマジネーションの世界だ。
芸術性とは人間を描くことだ。今までの芸術映画は人間を正面きって描くような誠実なものだった。
それに対して、人間はくだらなく、無意味でネガティブな存在なんだと描く映画もあった。
前者はミニ・シアター系列で評判を呼ぶが、
後者はうっかり観てしまった観客の心に癒しがたい傷を残す。