$~僕がピアノを弾くのを止めてから~


おれはいつでも

小さな眠りにはならない

眠るときは地下鉄ごと眠るか

玉蜀黍の畑ごしに

全市爆砕をゆめみるかだ



と思っていた

十九才の夏にはフットボールの球を

千メートル蹴上げようとして

その日から足が跛である

いまでは郊外の安アパートで

おやすみを言いにくる猫もいない



だがしかし、友人なんか作らない

やさしくなんかなるよりは

気が狂ってしまってよかったと

いまでもおれは思っているのだ