昔、やっていたフリーランスの仕事のクライアントから「担当のライターが熱でダウンしたので一日だけお願いできないか?」
と、依頼され一日だけ仕事を引き受けることになった。
旧知のカメラマンがジープで迎えに来て「悪いね」と言った。
僕は「どうも」と短い挨拶を返し荷物をジープに積んで出発した。
道中、簡単な朝食を採りながら仕事の打ち合わせを行った。
仕事は僕がインタビューし、カメラマンが写真を撮る。それだけだ。
話を聞く内容はクライアントから聞いているので極めて簡単だった。
僕はすぐに仕事の勘を取り戻し、能率よく仕事を済ませることができた。
カメラマンが何枚もフィルムを交換しながら写真を撮る中、僕は持ってきた62年製のミノルタ・ハイマチックのシャッターを好き勝手に押した。
仕事も早々に片付け、インド人の友人が経営する店で豆のカレーとナンの昼食をとった。
昼食を済ませると再び取材。
取材先の饂飩屋で2~3口饂飩を食べて後は全部残し、店主に話を聞いた。
カメラマンのシャッター音がリズムよく響くと、店主もその気になって調子よく話をしてくれる。
帰路、前を行くカップルのベスパがなんとなくいい感じで僕はミノルタのシャッターを切った。
ジープのカー・ラジオから流れるビーチ・ボーイズ、燦々と降りそそぐ暖かい陽射しに僕は心地よい疲れを覚え、いつの間にか眠ってしまった。


